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召喚魔王の俺  作者: まひる
第4章
242/248

6.魔王と並び立つもの─6


「ところで魔王様。」

 その後も細々(こまごま)とした報告があったが、一息ついたとこで突然ダミアンの畏まった声が掛けられる。

「何だ。急に改まって。」

 俺が問い掛けた事で、他の四魔将軍達の視線がダミアンに集まった。

「婚姻の儀はいつ()(おこな)いますか。」

「ぶっ。」

 突然の話に、俺は思わず吹き出してしまう。

 ──いや待て、婚約はしているのだから当たり前なんだけどっ。


「もう婚約の儀を()(おこな)ってから半年程経ちますが、正式に日取りを決めて準備に取り掛からなくては期を(のが)してしまいます。」

「えっ……何が……。」

 ダミアンの言葉に疑問符が浮かぶが、すぐさま魔王知識がそれを補ってくれた。

 つまりは獣人族犬種(いぬしゅ)は繁殖期があり、尚且(なおか)つ寿命も短い。それ(ゆえ)に二世を望むのならば早く仕込めという、なかなかに衝撃的な内容だった。


「……マジか。」

 即座に返答が出来ず、俺はその場で固まる。

 魔族は種族によってかなり寿命に差があった。鬼族や竜族が強い力を持っているのは長命(しゅ)(ゆえ)であり、対して獣人族や亜族は極端に短命なのである。

 それでも人族に比べれば獣人族は長命な(しゅ)もあり、その辺りは様々(さまざま)だった。

「ダミアンちゃん、もっと分かりやすく言わなきゃダメよぉ。蒼真ぁ、心配しないでねぇ?リミドラちゃんと交配すれば、魔王様の魔力が彼女にも挿入されるんだからぁ。」

 ミカエラの言葉に、別の意味で硬直する俺。

 しかも物凄い事を返された気がする。


「全く、ミカエラはデリカシーがないよなぁ。愛を交わすとか、愛し合うとか言えないのかねぇ。入れるとか交わるとか、エロ過ぎぃ。」

「フランツ。発想が卑猥(ひわい)。ミカエラはそこまで言ってない。」

「えぇっ、アルはここで俺を責めるっ?!」

 ギャアギャアとフランツとアルフォシーナのじゃれ合いが始まった。

 その間に再起動を完了した俺は、ミカエラの言葉を魔王知識で検索をする。

 確かに寿命が短い種族も長命種を伴侶とした場合、強い方の魔力影響でかなり延命するようだ。その条件が『仲睦まじい事』だというのならば、ミカエラの告げた内容が単なる憶測ではないのだと推測される。


「分かった。婚儀までどの程度みれば良いのか、ダミアンに任せる。リミドラには俺から告げるから、詳細が分かったら教えてくれ。」

「は。畏まりました、魔王様。」

「他には何もないな。……解散。」

「「「「「はっ。」」」」」

 そして俺は、全員に確認してから解散を告げた。

 だが玉座の()から自室に戻った途端、一気に熱くなった顔と耳を押さえてしゃがみこむ。

 ──色々と恥ずかし過ぎるだろっ。

 残念ながら、俺はそういった(たぐ)いの話に弱かったのだ。


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