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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
24/248

2.魔王として何をしましょう─10

「ふぅ…。起き上がれるか、ダミアン。」

 俺はストレッチで身体を(ほぐ)し、(いま)だ横たわったままのダミアンを見下ろす。

「は…、はい…。」

 かなり(つら)そうではあるが、俺の言葉を受け、ダミアンはゆっくりと身体を起き上がらせた。


 そして改めて見回すと、模擬戦とはいえ、かなり激しくやりあった感が残る鍛練場である。

 地面は激しく(えぐ)れ、あちらこちらにヘコみやら傷やらが酷かった。

 大丈夫だろうか。後でインゴフに怒られないだろうか。


「お待たせ致しました、魔王様。」

 その声に振り返ると、ボロボロの様相でダミアンが立っていた。

「ん、行こうか。」

 自力で立っているダミアンを見て、歩行が可能と判断する。

 まぁ、俺が運んでやるのは無理だがな。…悔しいが、デカさが違う。


 俺が先立って歩き出すと、ダミアンも(わず)かに足を引き摺りながらついてくる。


 地下鍛練場から玉座の()まで来た頃、俺はダミアンに振り返る。

「ダミアン。お前、今日はもう良いよ。自分の部屋で休んでろ。」

「そ、そんな…魔王様…。わたくしが貴方様と共にいる事を、もはやお許し頂けないのですか…。」

 気遣って言った言葉だったが、何故か酷く悲観された。

 いやいや…お前、傷だらけじゃん?って、俺がヤったんだけど。


「違うって。回復に専念しろって言ってんの。」

 責められている感じを受け、少しムッとして答える。

「どうか、どうかお(そば)にいる事を、お許し頂けませんでしょうか。」

 それでもダミアンは、両手を胸の前で組み、()い願う態度を崩さなかった。

「あのなぁっ。」

 聞く耳を持たないダミアンに、俺は声を荒らげる。


「貴方様のお傍にいる事が出来ないのであれば、この命など不要にございます。」

 だが今度は何を思ったのか、その場に膝をつき、(こうべ)を垂れた。

 なっ?!

 驚く俺の前で、何故かダミアンは、己の剣を鞘に納めたまま差し出してくる。

「どうか、わたくしにお慈悲を…。」


「は…?」

 思わず間抜けな声が漏れた。

 ちょっと待てよ?何なんだ、その慈悲ってのは。

 不意に疑問に思った事が、魔王の知識で検索される。

 …()れってか?!


「バーローっ!ふざけた事言ってっと、蹴り飛ばすぞっ!」

 大声で叫び、ダミアンの掲げていた剣を蹴り飛ばした。

「気分悪いっ。もう寝る!誰も入ってくんなっ。」

 それだけ吐き捨てるように告げると、俺は玉座の()に飛び込む。

 ちなみに、玉座の()から俺用の部屋までは続きなんだ。


 怒りに任せて駆け込んだのは良いが、後の事を考えてなかったな。

 大きな天蓋(てんがい)付きのベッドに横になった後で、俺はそれに気付いた。


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