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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
23/248

2.魔王として何をしましょう─9


「どうしたのさ、ダミアン。俺を()かせるんだろ?それとも、泣いてくれるか?」

 俺は、ビクビクと全身で痙攣しているダミアンを見下ろしながら、彼の翼を踏みつける。

 勿論、折らない程度には力加減をしているが、コイツには少し痛い目をみてもらわないとならない。

「まだ寝るなよ。水球(ウォーターボール)。さっき俺に向かって、好き勝手な事をほざいてたよな?」

 意識を失わないように、再びダミアンに水の球を当ててから言葉を続けた。


 魔王となった俺は、過去全ての魔王の知識を継承している。

 これが結構、大きい財産だった。

「俺の魔力の性質、分かった?」

 軽く翼を蹴りながら、ダミアンに問う。

「ぁぁぁぁ…、ぜ…ん…です、か?」

 息も絶え()えに、彼は答えた。

 うっすらと開けられた瞳が、俺をとらえる。

「そ。…お前は、氷と風だろ?それでも魔族の中では珍しい、二属性持ち。肉体の尋常じゃない強度と合わさって、強者であるという(おご)りが、お前の敗因な。」


 魔族は基本的に一属性の魔力を持つ。その中で(まれ)に、二属性以上の魔力持ちが存在するのだ。

 そして、ダミアンはそれ。種族の中でも、上位の力を保持する魔族である。

 だが(ぜん)─全ての属性の魔力を(ゆう)する魔族─は、皆無…いないとされていた。


「な…ぜ…っ。」

「分からないのか?仕方ない、ヒントな。…俺の肉体補整に、インゴフを含め、他に四人の次期宰相候補が絡んでるだろ?」

 疑問を補うように俺が告げれば、ややあってから、ダミアンの苦痛に(ゆが)められていた瞳が見開かれる。

 そう。様々な魔力を持つ魔族達が、俺の身体に己の魔力を(そそ)ぎ込んでいた。


「どうする?まだやる?…それとも、泣いて謝る?」

 愕然(がくぜん)としているダミアンに、俺は続けざまに問う。

 するとダミアンは、その瞳を閉じた。

「…も…し訳…ございま…せんでした…っ。」

 力なく答えるダミアン。

 魔族である証の金色の瞳を閉じ、負けを認める事は、これ以上ない屈辱である。


「うん、仕方ないな。お前…それ、ずっとつけてろよ。」

「え…?」

解除(リリース)─全魔法─。…全く、何処からそんなものを持ってきたんだよ。ってか、こっちにもあるってのが不思議だがな。だいたい俺だって、実物なんか初めて見るっての。」

 俺はダミアンから、闇の束縛を解除する。

 命令に唖然としているダミアンだったが、俺は我関せずで独り言オンパレードだ。

 いかん、いかん。15禁じゃないか。でもだいたい、何で(コイツ)の股間を見せられなきゃならんのだ。


 大きく深呼吸をすると、それなりに身体を動かした事もあり、晴々とした気持ちになる。

 対するダミアンは乱れた己の服装に気が付かず、地面に横たわったまま、俺を見上げるだけだった。


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