表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚魔王の俺  作者: まひる
第4章
224/248

4.魔王の突撃訪問です─8


 人族の男の案内でとち狂った国王のいる場所へ向かう俺だが、既に案内が必要でない程に神力の威圧感が周囲に増している事を気付いた。

 そして俺達と逆行するように、向かう先から様々な性別年齢の人族が駆けてくる。いや──これでも避難をしているようだ。

「俺達の事は完全スルーだな。」

「そ、そうですね。実は私も逃げ出したい気持ちでいっぱいなんですが。」

 男は額から冷や汗を垂らしながら、青白い横顔を晒している。

 国王に反逆の意を示しているから(ゆえ)の反応なのか、前方から感じられる強力な神力のせいかは不明だ。それでも歩みを止める事なく前に進んでいるので、間違いなくこの男は精神力が強い。──さっき誉めようとしたのを忘れていた。しかしながら、この男の精神力をもってしても(あらが)いきれない制約に嫌悪感を感じる。

 しかも前方から漂ってくるのは神力のくせに、何故か背筋を襲う寒気がするのは俺が魔王であるからなのかという考えが(よぎ)った。──仮にそうであったとしても、この場から尻尾を巻いて立ち去るなど有り得ないのだがな。


「おい。もう方向は分かる。道案内なしでも壁をぶち破っていけない事もないぞ。」

「か、勘弁してください魔王様。あの状態の国王が暴れたらこの城なんて跡形もないでしょうが、我々にしてみれば大切な守るべき象徴なのです。自分からどうぞ壊してくださいとは、口が裂けても言えません。」

 俺の親切とは言いがたい提案に、眉を盛大に下げての困惑の表情を見せられた。

 勿論言っている意味は分かるので、俺もこのまま強行手段に出ようとは思わない。だが基本的に城の内部は迷路のように入り組んでいるのだ。

 方向が分かるとはいえ、右や左と何度も角を曲がる面倒に若干どころかかなり苛ついてくる。断然真っ直ぐ行けば早いのだ。


『ミカエラ。報告をしろ。』

『あ~ん、蒼真ぁ。今はねぇ、ブヨが更に膨らんで部屋が風船なのぉ。』

 気を(まぎ)らわそうと男の後を走りながら念話を飛ばせば、問い掛けた先のミカエラから全く意味の分からない言葉が返って来る。

 ──ダメだ。しかも何故そんなにも楽しそうなのか理解が出来ない。

『コンラート。そっちはどうなってる。』

『ふぬ。………………今はゆとりがない(ゆえ)………………後にしてもらえぬだろうか、魔王様。』

 仕方なしに直接対峙しているであろうコンラートに念話で呼び掛けた。がしかし、まともに会話が成り立ちそうな奴には速攻で断られる。


 ──おかしい。何故、魔王である俺への対応が皆してこれなんだ。


『魔王様?』

『……リミドラ。あれ?俺、 呼んだか?』

 直属の部下からの対応に苛立ちを感じていた俺に、この場にはいないリミドラからの念話が届く。

 彼女は魔王城に待機しているので、こちら側の状況は把握出来ない筈なのだ。──いや、俺の渡した黒蝶があるか。

 俺の闇魔力で構成されている黒蝶(それ)は、ダミアンが言うに俺の分身らしい。もしかして俺の苛立ちを感じたのかもと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ