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召喚魔王の俺  作者: まひる
第4章
221/248

4.魔王の突撃訪問です─5


「ミカエラ。先程の聖職者を捜せ。アルフォシーナはミカエラと念話連絡を取りながら、聖職者をここにつれてこい。フランツ、コンラートは隼人の指示を受けて神力核のところだ。ダミアンは隼人とフランツ達の連絡係をしろ。分かったら行けっ!」

「「「「「はっ!!」」」」」

 俺の声にそれそれが了承の意を示して散る。

 くそっ、馬鹿にしているにも程があるだろ。こっちは善意の集団じゃないんだ。

 怒りに任せて拳を振り下ろすと、俺の足元の石造りの床が砕ける。だがそれだけでは怒りが収まらず腕を軽く振るった事で、隼人が焦がした玉座の周辺を壁ごと吹き飛ばしてしまった。


「蒼真?」

「……あぁ。」

 隼人に声を掛けられ、大きく深呼吸をしてから答える。

 だがその自分の返答すら、完全に苛立ちを消せれてはいなかった。

「大丈夫?蒼真。」

「ふぅ……。いや、結構頭に来てる。」

 再度心配そうに隼人から肩に手を置かれ、俺は息を吐き出して真情(しんじょう)を吐露する。

「うん。」

「少し風に当たって来るから、隼人はダミアンに協力してやってくれ。」

「分かった。」

 俺はこれ以上無様な自分を(さら)したくなかった為、背中に闇魔力を翼に変えて装備し、テラスから飛び立った。

 一瞬悲しげな隼人の表情が見えたが、感情を暴走させてしまっては仲間の存在すら危うくなってしまう。それほどに、今の俺は大きな爆弾を(かか)えていた。


 テラスから飛び出し、城の上空に浮かぶ。そのまま己の内に込めた闇魔力を一気に放出した。

 これは鬱憤を晴らす要領でやってみただけである。大声を出す訳にもいかない為だが、内心では『王様の耳はロバの耳~っ』と叫んでいる気分だった。

 その解放された魔力によって、自分を中心に周囲が闇に覆われる。でもこれは恐怖ではなく、俺にとっての安らげる空間だった。

「はぁ……はぁ……はぁ……。」

 肩で息を吐き、額に拳を当てる。ここで初めて自分の手が震えているという事実に気付いた。

「なかなかないよな、怒りに震えるっての。はぁ~……、ちょっと反省。魔王の怒り、ぱねぇな。俺の感情だけじゃなく、『魔王』に引き()られそうになった。」

 意識的に呼吸を緩やかにさせ、自分の魔力をコントロールする。

 大きな力はそれだけで暴発する危険も(はら)んでいるのだと突き付けられた感じだ。


『蒼真。大丈夫?何か空が暗いんだけど。』

 落ち着いたところで、隼人からの念話に気付く。

『あ?空が暗いって、どういう事だよ。』

 まだ昼頃の筈なので、暗いという表現には適さない時間だった。

『魔王様。お話中申し訳ございませんが、この辺り一帯を闇魔力が覆ってしまっているようです。』

『え……、マジか。』

 状況が分からない隼人と俺に、ダミアンからの念話が入る。

 どうやら俺の周囲だけではなく、かなり広範囲で魔力を放出してしまったようだ。

 マジ、魔王ぱねぇ。


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