表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
22/248

2.魔王として何をしましょう─8


氷槍(アイススピア)解除(リリース)土槍(グラウンドスピア)─ダミアンの周囲に─。」

 俺は長剣に掛けていた氷の槍魔法を解除し、続けざまにダミアンの周囲を大地から突き出した槍で囲む。

「魔王様、お忘れでしょうか。わたくしには、翼があるのですよ?」

 笑いを堪えきれないといった様子のダミアン。

 確かに周囲を取り囲まれた状態ではあるが、彼の背には大きな猛禽類に似た茶色の羽根があるのだ。

 そして翼を大きく広げると、悠々と上昇する。


 城内の地下とはいえ、高さは他と変わらず、三階建て程の空間。

 俺の作った土槍(グラウンドスピア)は5メートル程。明らかに上空にスペースがあった。


「あぁ、知ってるよ。闇爪(ダークネイル)。」

 俺は翼を広げたダミアンに向け、闇魔法を放つ。

 イメージで作り上げた闇の爪は、天井から伸びた影の手の(ごと)く、軽く土槍(グラウンドスピア)の囲いを覆う程の大きさだった。

 勿論、逃げ場所なんか許す筈もない。

「?…があぁぁぁぁぁぁ…っ!」

 ダミアンが見上げるが、時既に遅し。

 闇の爪に羽根を鷲掴みされ、内臓が出そうな程に大口(おおぐち)を開けて叫ぶダミアン。


「考えたんだ。俺の魔力の中で、何がお前に対抗出来るかって。」

 腕を組んで薄い笑みを浮かべ、(ちゅう)に縫い()められたダミアンを見上げる俺。


 知識の中で、俺が何故魔王に選ばれたかを知った。

「俺さ、闇魔力の適合者だったんだよな。」

 首を(すく)め、組んでいた腕を()く。

解除(リリース)闇爪(ダークネイル)以外─。」

 ダミアンを(つか)んでいる闇の爪以外の魔法を解除し、ゆっくりと彼を引き()り下ろす。


 ダミアンは既に意識が飛び掛けているようだ。

 大きく開けた口の端から(よだれ)を垂らし、(なか)ば白目を向いている。

水球(ウォーターボール)。ダミアン?まだ気を失うのは、早いぜ?」

 俺はダミアンに威力を殺した水の球を当て、強制的に覚醒させた。


「あ…ぁぁぁぁ…っ。」

 だが、翼ごと上半身を闇の魔力で縛られている彼は、(うな)る事しか出来ない。

「前魔王が言ってただろ?弱点の克服は、早急にするようにって。」

 そう告げながらも、俺はダミアンの翼に直接、手を伸ばす。

 関節部分に爪のようなものが飛び出てはいるが、やはり触りごごちは鳥のそれと同じ。

 そして一頻(ひとしき)()でた(あと)、思い切り掴んでやった。


「があぁぁぁぁっ!」

 強制的に(ひざまづ)かせた状態のダミアンだったが、その衝撃で弓なりに身体をしならせ、後頭部から地面に倒れ込む。


 翼こそ、彼の急所。唯一の弱点だったのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ