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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
21/248

2.魔王として何をしましょう─7


 俺は、振るおうとしていた氷の槍を身体の正面で(とど)め、即座に魔力を集中する。

風壁(ウインドシェード)─前方へ─。」

 そして前方を意識し、風の壁を作った。


 ガガガガガガガッ!

 一瞬間(いっしゅんかん)で凄まじい音と振動が、鼓膜を圧迫する程に襲い掛かってくる。

 鼓膜、破れそう。


 だが耳を押さえている暇もなく、体勢を整えたダミアンの刀身が横から迫っていた。

「んなろっ!」

 風壁(ウインドシェード)は前方にしか作らなかった為、俺はすぐに自分の持つ氷の槍で応戦する。


 だが渾身の力で振るい、ダミアンの刀身と氷の槍がぶつかった時、(わず)かに氷の破片が飛んだ。

 やはり、良い剣相手では()が悪い。

 俺はダミアンの刀身を弾き返すと、大きく後ろに飛躍する。


「ふふふふふ…。良いですねぇ、魔王様…その表情。」

 ダミアンは右手に剣を持ったまま、左肩の傷口を(しぼ)りながら()でる。

 モワモワと黒い霧が放出されているのが、その動かぬ証拠だ。


 対する俺は、炎装(ファイアイクイップ)で身体を包み込んでいる為、外傷は一切ない。だが疲労は少なからず蓄積されているし、何より精神的にキツかった。

 同時に複数の魔法を行使する事は、かなり負荷が大きいらしい。


「あぁ…、貴方に突き刺して、深く(えぐ)って、()き回したい…。」

 はぁはぁと呼気を荒くし、刀身を舐めるダミアン。

 いかん。変態度合いがマックスだ。コイツ、自分の血を見ると、豹変するタイプか。

 M気質がS気質になってないか?


「この15禁野郎が…。お前になんか負けるかよっ。」

 ビシッと指差し、宣言する。

 だいたい、負けたら何をされるか分かったものじゃない。

「良いですよ、魔王様。その心意気は認めます。ですが、わたくしは強いですよ?」

 余裕からなのか、フワリと綺麗な笑みを見せるダミアンだった。


 ムカツク。コイツを傷付けた事を少しだけ反省したけど、もう良い。徹底的にやってやる。死ななければ問題ないだろ。

 俺は自らの知識を振り返る。

 腕力では勝てそうにない。それならば、魔法しかないだろ。


「泣かせてやるよ。」

()かせてあげましょう。」

 俺の言葉をそのまま返してくるダミアンだったが…、何だか妙な感じがした。


 くそっ…コイツ、本当に足腰たたなくしてやる。

 ってか俺、本当に一番強いんだよな?ちょっと不安になってくるじゃないか、インゴフ~。

 一瞬弱気になって、ここにはいない魔法士を恨んだ。


 いかん、いかん。気持ちで負けては、勝てるものも勝てなくなるじゃないかっ。


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