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召喚魔王の俺  作者: まひる
第4章
201/248

2.魔王はカウンセラーではありません─5


「隼人っ。」

「……うるさいね、本当にもう。」

 再度叫べば、突然後ろから呆れたような声音で返答が返ってくる。

「ぅおっ?!」

 思わず跳ぶように振り返れば、寝起きのようなぼんやりとした表情の隼人がいた。

 髪を無造作に掻きあげながら、『ふわぁ~』と大きな欠伸をしている。確かに俺的には見慣れた隼人の寝起き風景である。

 この何でも出来る親友は、寝起きだけはとことん悪いのだ。目覚ましなんて、物凄い大ボリュームでも効果は見込めない。それで寝ていられるなんて、俺にしてみれば本当に神がかっているとしか思えなかった。


「相変わらずな寝起きの悪さだな。それで良く勇者してられるよ。」

「うるさいよ、蒼真(そうま)。勇者に早起きは求められないから良いんだっての。大体、僕は蒼真の声でないと起きられないの知ってるだろ?」

 茶化してみれば、さも当然とばかりに返される隼人の台詞である。

 携帯の着信音が俺ボイスだなんて、モーニングコールさせられていた俺も知らなかった。──知ったのは高校に入って少し経った頃だし。


「いや、マジで有り得ねぇから。それで彼女と長続きしないの、誰得よホント。」

「良いんだよ、そんなの。僕が何を着信音に設定しようが、他人にどうこう言われる筋合いないって。」

 肩を(すく)めて見せても、開き直っている隼人に全く効果はなかった。

 本当に俺好きすぎて困るっての。

「まぁ、こっちじゃ携帯はないけどな。」

「そうなんだよね。科学慣れしてる僕等にとって、時代遅れすぎて嫌になるよ。まぁ、携帯なんて蒼真がいなくちゃ必要なかったけど。」

 ニコッと笑みを浮かべる隼人に、俺は戸惑いを隠せない。

 隼人の言葉は嘘がないと分かっている分、俺は対応しかねるんだよな。


「あ……、そう。マジでコメントに困る。ってか、起きたならここから出ようぜ?」

「ん?……そういえばここって何処。」

 俺の提案に、(ようや)く現状を察する隼人。

 でも映画館のように暗い空間では視界の確保も危うい訳で。現時点で俺達を照らしているのは、先程の隼人シアターだけなのだ。

「ん~……、お前ん中?」

「何それ、エロいんだけど。」

「いやマジ、その発想が有り得ん!」

 高校時代に戻ったかのようなやり取りをしている俺達は、あの時とは少しばかり纏う色合いが変わっただけである。


 そしてマジマジと見ると、やはりあの頃より少し大人になった隼人が目の前にいる訳で。

 少し悔しいとか思う俺って、何だか狭量だよなって思ってしまった。でもこんな形であったにしろ、隼人と再会する事が出来て本当に良かったとも思える。

 よし。もう少し頑張るか、俺。


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