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召喚魔王の俺  作者: まひる
第4章
195/248

1.魔王と神力─9


「魔王様。繋がります。」

「お、おう。」

 ダミアンの呼び声に意識を戻す。

 そして彼の造り上げた、目の前にある掌サイズ程の円形空間の(ひず)みを認識した。その中は初め湯気のように空気が揺れているだけだったが、徐々にはっきりと奥が見えるようになる。──そこには水鏡のように一枚隔てた向こう側で、苦痛に(ゆが)む隼人の顔がはっきりと映し出されていた。


 俺は迷う事なくその先へ闇魔力を向ける。神経を研ぎ澄ませているからか、実体でない筈の魔力が隼人に届いたのが感覚で分かった。

 そのまま彼の体内で神力の核を見つける為に検索(サーチ)する。──見つけた……が、何故だ。脳内に一ヶ所、心臓近くに一ヶ所ある。

「いかがなされましたか、魔王様。」

 何で二ヶ所もあるんだよと思ったのが顔に出たらしく、ダミアンに(いぶ)しげに問われてしまった。

「……二ヶ所ある。」

 とりあえず(いつわ)っても仕方がない為、正直に告げる。

 同時に俺は頭の中で、魔王知識と比べつつ一人問答(もんどう)していた。解決策を必死で模索する。


「二ヶ所、ですか。人族の聖職者も悪辣(あくらつ)ですね。普通は一つに絞りますが。」

 大きく息を吐きつつ、ダミアンが告げた。

 やはりというか、同じ事を俺も魔王知識を見て思ったさ。異なる世界から呼び出した『勇者』に植え付ける核は、過去を(さかのぼ)ってみても一ヶ所のみだ。──つまりは何を考えて複数ヶ所に植え付けたのか。

「……考えたって仕方がない。とにかく、隼人の中にある神力を消すだけだ。」

 はっきりと告げると、ダミアンが(わず)かに眉根を寄せた。

「御意に。わたくしは御手伝いをするのみです。」

「……ありがとう、ダミアン。」

「勿体無き御言葉。」


 礼を告げ、ダミアンの造り上げた門から更に凝縮させた闇魔力を差し込む。そして二つに割り、脳内と心臓近くにある『神力の核』に(まと)を絞った。

 ダミアンは俺からの謝意に勝手に感動して打ち震えているが、そこは完全スルーさせてもらう。だいたい、こっちは集中力がものを言うからな。


 そうこうしている間に、隼斗の心臓近くの神力核に闇魔力が届く。──痛っ?!

 何故か接触した瞬間に、俺の心臓付近に刺すような痛みがあった。だが一瞬(ひる)んだものの、それに構わず脳内にある核にも闇魔力が届ける。

「ぐっ……!」

 思わず苦痛が口から漏れ出た。意識を集中させる為に左手を隼斗へ伸ばしていたのだが、突然の衝撃にガクリと腕が下がる程。

「魔王様っ。」

 駆け寄ろうとしたダミアンに右手を差し出す事で動きを制する。

 だがすぐに俺は動けなかった。


 肩で息をしつつ、闇魔力の集中力が途切れないように心掛ける。ダミアンが指摘した通り、俺は意識していないと魔力が纏まらないのだ。

 己の内にある強大な魔力に呑まれ、結果的に魔法としての効果を出せなくなる。操作性──マジで危ういのだ。


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