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召喚魔王の俺  作者: まひる
第4章
189/248

1.魔王と神力─3


『ダミアン!手荒くなっても良いから急げっ。』

『はっ、かしこまりました。』

 念話でダミアンに指示をすると同時に、俺は翼を形成する為に使っていた闇魔力を隼人へ向ける。

 勿論攻撃が目的ではなく、彼を診断する為だ。

 翼が徐々に崩れ、黒い魔力が隼人を包んでいく。


 高度を下げつつ(なか)ば落ちるようにダミアンが湖方向へ飛んでいく中、シャボン玉色の(もや)に包まれて苦しむ隼人を闇魔力で完全に包み込む。

 あ……これ、マジでダメなやつだ。直接──肉体ではないが──触ってみて、ピリピリと刺すような感じがする。

 魔力で触れているからこれは不思議なのだが、実際に俺の神経が刺激されている感覚を受けた。

 だが、これが神力か。

 魔力とは全く異なる力であり、見聞きして知った知識とはやはり違う。まるで水と油だ。混じり合う事なんてないと断言出来る程、それは異質だった。


 それでも彼を救いたい。もう会えないと思っていた向こうの世界の、しかも親友だぞ。更に今は本当に手の届くところにいるんだ。見捨てるなんて選択肢は当たり前ながら存在しないだろ。

 俺は魔王知識に深く(もぐ)り、神力の(あら)を探す。

 何処かにあるはず筈だ。そもそも完璧なものなんてない。

 闇魔力で包み込んでいる隼人の呼吸が弱くなってきた。焦りだけが俺の心を(さいな)む。


 多分聖職者から離れた事に原因があるとは思うけど、『祈り』って事は何でも良いのだろうかと疑問に思った。

 試しにというよりは(わら)にもすがる思いで隼人の回復を祈る。肉体的にも精神的にもコイツを傷付ける事など許さない。

 それでも神力によって(はば)まれた俺の闇魔力は、彼に届く気配すらなかった。だが、先程までとは違う隼人の反応を感じる。(わず)かではあるが、呼吸が穏やかになったのだ。


『ダミアン、あとどのくらい掛かる?』

『あの森を越えればすぐです。』

 念話で確認すれば、目の前に見える木々の塊の向こうだと言う。

 だが、それを越えたら遠慮なく神力を打ち破ってやる。今の状態では魔力操作のみで対応せざるを得ないし、尚且つ効果がいまいちだからだ。

「隼人、勝手に戦線離脱とか勘弁だぜ?」

 魔王知識に神力についての細かな情報はない。過去の魔王達も、聖職者とは直接の戦闘はなかったようだ。

 まぁ、『魔王VS』といえば『勇者』なんだろうけどさ。


 って言っても、俺は隼人を勇者としては見てないんだけど。

 これって、インゴフ辺りの知恵なのかな。勇者が人族なら魔王も人族から出そうだなんて、ある意味魔族をバカにしてる気がしなくもない。


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