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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
18/248

2.魔王として何をしましょう─4


「武器を取れ、ダミアン。」

 鍛練場の中央へ歩いて行きながら、俺はダミアンに声を掛ける。

「魔王様、何をなさるのですか?」

 当たり前のように左斜め後ろをついてきながら、やはり理解はしていなかったようだ。

 俺が考えをイチイチ言わなきゃ、まともに対応出来ないのかよ。


 その問いに答える事なく、俺は腰に()いた長剣─ここに来る前に装備─を抜刀する。

 あ、ちなみにこれ、本物ね。ちゃんと刃をつけてある、斬れるヤツ。

「魔王様?」

 俺の抜刀に、(わず)かながらダミアンの目が開かれた。

 コイツが遣り手と知識で知っていたって、実際に俺が目にしなきゃ信用出来んっ。


 有無を言わさず、一息(ひといき)に剣の間合いに入る。だがその軌跡が横一線を描く事はなく。それは(いま)だに俺の手元で、甲高い金属音を放っている。

 つまりは、ダミアンに受け止められたのだ。

 だが彼の帯剣は完全に抜刀されておらず、俺の剣を腹部辺りで鞘と(つば)の間で止めているにすぎない。


 ギチギチと(つば)()り合いをしていたが、ダミアンが抜刀する気配はなかった。

「余裕じゃん。俺相手に、抜刀する必要もないって事?」

 接近戦で睨み合うと、ダミアンの綺麗な弧を描く眉が(わず)かに上がる。

 ってか、身長差が半端ないんだけど。…ムカツク。


 そういう俺は、剣道を授業で少し(かじ)った程度。

 それでも本物の長剣を振り回せるって事は、魔王としての記憶と力のおかげだろう。

 実際、金属の剣は重い。平和な日本育ちである本来の俺の腕力じゃ、とてもじゃないが一度振るうのが限度だろうな。


「魔王様…。」

「何、俺が魔王だから?それ、鍛練場では必要ない事だよな。」

 何かを言い掛けたダミアンを制し、俺は言外(げんがい)に本気を出せと告げた。


 更に力を込め、鍔競り合いの状態を弾き返す。

 いつまでも均衡していては、本領発揮といかないではないか。

火球(ファイアボール)。」

 (わず)かに空いた隙をつき、ダミアンの足元に魔法を放つ。

「っ?!」

 さすがのダミアンも焦ったようで、当たらないと分かっていても、弾かれるように後退した。


「誰も、殺し合おうなんて言ってないだろ。鍛練に付き合えと言ってるんだ。お前がやらないなら、他の奴を捜すだけだぞ。」

 ダミアンに長剣を突き付け、睨み付ける。

「わ、分かりました、魔王様。…他の奴等に、魔王様のお(そば)は譲れません。」

 後半は何を言ったのか聞き取れなかったが、(ようや)くダミアンもやる気になったようだ。

 今まで鞘に納めたままだった剣を抜き、真っ直ぐ俺に構える。


 ってか長身なだけあって、刀身も長いな。ムカツクじゃん。


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