表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚魔王の俺  作者: まひる
第3章
177/248

6.魔王のあり方─1


 いつものように闇魔力を翼に変換して背に装備。俺達はダミアンと共に勇者がいると思われる北西へ向かっていた。

 上空からでも分かる、魔族と人族の戦闘の痕跡。

 人族の遺体が転がっているばかりではなく、魔族の核もそこかしこに落ちている。あれは魔石となりうるものだから、本来ならば誰もが喜んで採取していくものなのだ。


「酷いな。」

「戦ですから仕方ありません。」

 通過しながら呟く俺に、ダミアンは当たり前のように告げる。

 『(いくさ)』とは、どうしてこうも無慈悲なものなのだろうな。

 今の俺はこれらをどうする事も出来なかった。


 ◆ ◆ ◆


「やぁ、オーミ。それとも、魔王といった方が良いかな?」

 笑顔で見上げてくる隼人。

 既に『魔王』が誰か、『敵』が誰であるか分かっている口調である。 

 それもそうだな。闇魔力の翼は現時点でも出したままだし、前回も撤退する時に(あらわ)にしたのだ。

「どうして……ここに魔王がっ?!」

「嘘っ、まだ心の準備ができてないのにっ。」

「落ち着け、ジュナーにアミナ。」

 勇者の連れである一行は、戦士と魔法使いと聖職者の三人のようである。

 戦士はガタイの良い肌の浅黒い男で、魔法使いは黒いローブを頭から被っているから分かりにくいが金髪美女。その横にいる緑の長衣の男が、確認せずとも例の聖職者なのだろう。

 本当にこれがRPGならば定番の四人編成だ。勿論、この場合の倒すべき相手は魔王である俺なのだが。


「勇者一行を出迎えに来てやった。」

 内心を隠し、俺は尊大に言い放つ。

 空中にホバリングしたまま、腕組みをする事で魔力の威圧感を増した。

「お出迎えありがとうだね、魔王。横にいる茶色の翼の魔族は、もしかしてこの前の鷲かな。」

 それでも隼人には効果がないようで、冷静にダミアンの事を分析している。

 なんかもう、気持ちで負けそうになった。


「魔王様。」

「あぁ。とりあえず、俺は勇者と一騎討ちが良いな。」

 ダミアンの心配そうな呼び掛けに、俺は苦笑いで応える。

 コイツだけは勇者と俺が、ただの知り合い以上の関係と知っているからな。

「かしこまりました。ではお二方の邪魔をさせないよう、わたくしはその他の雑魚を相手しておきましょう。」

 作りの綺麗な顔に笑みを浮かべ、視線を『雑魚』と称した勇者以外の三人に向けた。

 うん、相手の表情が思い切りひきつってる。怖いよな、こういうの──冷笑っていうんだっけ。


「そんな訳だから、君達はあの翼の魔族をお願いね。」

 隼人は仲間である戦士達へにっこりと笑顔で指示を出した。

 笑顔なのに妙に威圧感があるって、隼人ならではって感じがする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ