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召喚魔王の俺  作者: まひる
第3章
176/248

5.魔王は不死身ではありません─10


「それでも勇者は魔王に立ち向かうのだな。」

「惨めなものですな。『拒絶』を封じられ、(あらが)う事を、忘れていればこそ、聖職者に反するなど、思いもしないのですよ。」

 俺の半ば呆れたような言葉に、インゴフは衝撃的な事実を明らかにする。


 確かに勇者はいつの時代でも、突然見知らぬ場所に連れてこられても戦った。自分とは全く関係のない人々の幸せの為、自らの命を省みる事なく。

 『勇者だから』『はい、そうですか』で済む問題ではないだろうという事は、容易に想像出来る。怖いに決まっている、逃げたいに決まっているのだ。

 出会った事のなかった自分より大きな魔族と、魔法が使えるとはいえ死なない訳じゃない。痛みもあるし、疲労も空腹も感じるのだ。

 普通の人族より多少丈夫ではあっても、ただそれだけなのだから。


「俺も人の事は言えんが、勇者大概だな。」

「魔王様は、統治者であって、魔法玉ではありません。放ってお仕舞いなど、その様な軽い存在では、ないのですぞ。ワシ等魔法士が、全ての世界から捜し出す、唯一の(あるじ)、なのですからな。」

 自嘲してみせれば、心外だとばかりにインゴフが熱く語りだした。

 なるほど。確かに使い走りではないな、魔王ってのは。それより、『全ての世界から捜す』とは大きく出たな。


「ここにいらっしゃいましたか、魔王様。」

 そこへ(ようや)くダミアン登場だ。

 先程とは装いが異なる為、出掛ける準備万端とみて良いだろう。

 ってか、ここに来る事は言った筈だが聞こえていなかったのか。

「よし、行くか。インゴフ、色々と参考になった。」

「はい、魔王様でしたら、いつでも御時間の、宜しい時に。ワシはいつも、ここにおりますのでな。」

 再び来た時と同じ様に軽く手を上げ、礼を告げてダミアンと共に退室する。


 魔王である俺は勿論不死身ではないが、勇者も不死身ではないのだ。

 さて、どうやって隼人の力を()ぐか。しかも命を奪う事なく。

 俺はダミアンを引き連れて外に向かいながらも、つらつらと考えていた。

「魔王様?」

「あぁ、悪い。少し考え事をな。それより、直行する形で良いか?」

「はい、わたくしは常に魔王様と共に。」

 在り来たりな言葉にも、今の俺にとっては心強いものである。

「そうか。まぁ、変態発動しなければお前は一番強いからな。」

「ま、魔王様……。」

 自然と笑みが浮かぶが、ダミアンの力は無条件に安心感を与えるだけのものがあった。

 ただし、変態だがな。


2018,01,09誤字訂正

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