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召喚魔王の俺  作者: まひる
第3章
172/248

5.魔王は不死身ではありません─6


「……ダミアンか。」

「はっ。」

 掠れた声で問えば、ハッキリとした返事が返ってくる。

 そして辺りを見回し、今いる場所が魔王城の私室のベッドの上である事を理解した。

 身体が少し重く感じるが、闇魔力での治癒後はこんなもの。だいたい、これが自動発動するのは生命に関わる損傷を受けた場合だ。


「どうなった。」

「はっ。アルフォシーナからの預かり物を調査した結果、銀の粉末に神力を纏わせたものだと判明しました。」

 端的な俺の質問にも、ダミアンは淀みなく答えてくれる。

 本当に良く出来た宰相だ。

 っと、『神力』って何だと思った瞬間に魔王知識の作動。魔力とは全く異なり、聖職者が使う人族特有の能力らしい。

 おまけに勇者の能力も、(もっぱ)らこれが主流だとか。それ(ゆえ)、力で(まさ)る筈の魔族の魔王が人族の勇者に打ち負ける事もあるって訳だ。


「って事は、勇者の力か?」

「いいえ、そうとは限りません。あくまでも勇者は魔力の遣い手。対して神力は聖職者に限った『祈りの力』の凝縮だと筆頭魔法士が仰っていました。」

 ダミアンの報告を聞きながら、俺はゆっくりと身体を起こす。

 (だる)いだけで、身体的異常は何もなさそうだ。

 軽く身体を動かしつつ、今回の対策を考える。

「インゴフか。……アイツは触れたのか?」

「残念ながらすぐさま変色してしまいました。そもそも我々魔族に反応するようで、魔力の低い者にも反応します。唯一触れるのは空間魔法ごしでした。対象者は私とアルフォシーナ、他数名の魔法士のみです。」

 かなり(しぼ)れてきているが、(いま)だ状況は(かんば)しくなかった。


「あれは魔力に触れると変色するだけじゃなく、周囲の魔力を吸収するだろ。人族の武器防具に銀粉が仕込んであるようで、魔族側の被害は再生能力すら奪われて悲惨な状態だ。」

「はい。アルフォシーナから報告を受け、各部隊には欠損部分の洗浄を(うなが)しております。水属性がいない場合は欠損部分の再切断を(おこな)っていますので、当面の問題は野戦糧食(レーション)用の魔石確保でしょうか。」

 どうやらダミアンの方でも事態は正確に把握しているようだ。

 それでも魔石には生産量の限界がある。

「魔法士達が作るにも限界があるだろ。城内の総魔力量をあまり減らしすぎるのも考えものだな。」

 俺は腕を組んで考えた。

 通常の魔石は魔力が自然に蓄積されたものである。それを故意に作り上げるには、当たり前ながら石に魔力を込めなくてはならないのだ。

 そしてそれは、繊細な魔力操作の出来る者に限る。結果、魔族でいうならば魔法士という事だ。


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