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召喚魔王の俺  作者: まひる
第3章
165/248

4.魔王なのに留守番です─9


「違う、アルフォシーナ。俺は責めている訳じゃないんだ。……悪いな、城にいても情報があまり回って来ないからよぉ。」

 思わず言い訳じみた返しになってしまったが、これは仕方のない事だった。

「違う……。魔王様……あたしもこの戦い、分からない……。」

 アルフォシーナも分からないと言いながら、一旦は上げられた頭を再び(うつむ)ける。

 って、現地にいても相手の武器が分からない?


「なぁ、アルフォシーナ。人族はどんな装備なんだ?」

 俺はなるべく優しく問い掛けてみる。

 とりあえず当初の目的通りに情報収集が必要だからだ。

「ん……。全身を覆う鎧と、大振りの剣。でも、それだけ。」

「鎧に、大剣?」

「ん。でもそれで切られると、身体の傷が回復しない。」

 真っ直ぐ見上げてくるアルフォシーナは、不安を瞳の奥に見せながらも毅然と立っている。

 さすが、四魔将軍だな。

 見た目は小柄な少女であっても、俺の──魔王の四肢となった自覚があるようだ。


「切り離される事によって核が損なわれるのは分かるけど、それでもその部位に核があった場合だよな?」

 思わず首を(かし)げる。

 魔族の肉体は魔力で形成されているので、魔力の補充が出来れば必然的に再形成可能な筈だ。

「ん。でも皆同じ症状。」

 視線を向けた先には、自由にならない身体をもて余す魔族達。しかも切断面から魔力が止めどなく漏れ出る為、衰弱していくのである。

「……ちょっと傷口を見せてくれないか?」

「魔王様っ!」

 すぐ傍にいた左肩から先を失った魔族に触れた。

 慌てたようにアルフォシーナが声を上げるが、ウイルス性のものではない。触った程度で何か起こる筈もなく、若干その魔族が緊張するくらいだ。


 痛みを感じているだろう切断面を凝視して、ふと違和感を感じる。

「悪いな、触るぞ?」

「ぐぅぅぅっ!」

 相手の了承を得る前に指先で触れ、その魔族が苦悶するも観察を続けた。

 そして違和感の正体に気付く。

「……何だ、これ。キラキラ光ってるんだけど。」

 霞のように溢れていく魔力に触れていた筈なのに、俺の指先には銀色の粉末が付着していた。

 小麦粉のように微細で、(こす)り合わせてもなかなか取れない。

「何、それ……っ。」

 不思議そうに近付いてきたアルフォシーナだったが、俺の指先を見て固まった。

 ん?反応がおかしいな。

 硬直した彼女の顔の前で手を広げて振ってみる。


「魔王様っ!」

「ぅおっ?」

 中腰状態なのに勢い良く飛び付かれ、さすがに倒れはしなかったがおかしな声をあげてしまった。

「それ、危ないっ。」

「な、何が?」

「そのキラキラ、つくと倒れちゃうっ。」

 必死なアルフォシーナは、俺の指先についた付着物を警戒しているようである。

 彼女のこの反応から、これが魔族達に悪影響を与えている物質である事は明らかだった。


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