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召喚魔王の俺  作者: まひる
第3章
162/248

4.魔王なのに留守番です─6


「なぁ、ダミアン。俺、最近大人しくしてるよな。」

「えぇ、まぁ。それがどうかなされましたか?」

 処理を終えた羊皮紙をポイと処理済の棚に投げ入れつつ、俺は同じく作業中のダミアンに問い掛ける。

 あれから三日は経っていた。

 それなのに未だに解決策も出ず、消耗しながらの戦いは続いている。

 そして黒雀からも黒蝶からも(かんば)しい情報は得られなかった。


「行ってくる。」

「はい?……何処へですか、魔王様。」

 (いぶか)()に問われるも、ダミアンの視線は手元の羊皮紙に向けられていた。

 つまりはそれほど俺達の執務机に積まれた書類が多いという事で、(さば)けど捌けど減らないのである。

 書類内容的には各地の部隊からの費用請求や嘆願書等が(おも)で、放置して良いものでもないが急ぎでもないものばかりだった。

 ただし、量が多い。

 部隊が四ヶ所に散らばって活動している為にやむを得ないのは分かるが、雑務作業に飽きたのが俺の本音だ。


「決まってる、現地飛び込みだよ。だいたい、情報が無さすぎる。このまま消耗戦に持っていかれるのも国力が衰えるだけだ。いくら魔族でも非戦闘員だっている。魔族の女子供相手なら、人族の男が数で攻めてきたら対抗出来ないだろ。」

「それはそうですが……。」

 さすがに俺が引かないと思ったのか、視線を真っ直ぐに向けて渋る。

 実際に俺の言葉が大袈裟でない事を分かっているらしく、真っ向から反対はしてこないようだ。

「大丈夫だって、情報を集めてくるだけだから。何なら、ダミアンに人形を置いていっても良い。」

「にんぎょう?」

「ん。」

 首を傾げるダミアンに、言葉だけでは分からないと思い実物を差し出す。

 それは彼のイメージに合わせてクワガタムシだ。勿論闇魔力で作り上げている為、黒雀や黒蝶と同じように動く。

「ふわあぁぁ~っ。」

 掌に乗せてやった途端、ダミアンはおかしな声を上げてその場に座り込んでしまった。

「お、おいっ?」

 突然の事に焦った俺は、彼の顔を覗き込もうとしゃがんだのだが。

 うん、アッチの世界に旅立っていた。

 ビクビクと小刻みに身体を痙攣させ──いや、説明するのはやめよう。俺の精神衛生上。とりあえずこのまま放っておいて良さそうだからな。


 俺はその場にダミアンを放置したまま、闇魔力で背中に翼を作って窓から飛び出す。

 後ろを振り返るも誰も追っては来ないし、そもそもダミアンがあんなだから指示する奴もいないのだ。

 魔王城内部にはたくさんの魔族がいるが、それぞれが戦時中でソワソワと落ち着きなく動いている。そんな魔力を感じながら、俺はアルフォシーナがいる西に向かった。


2017,10,04誤字訂正

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