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召喚魔王の俺  作者: まひる
第3章
158/248

4.魔王なのに留守番です─2


「あの人族が勇者だって言ったの、聞いてたんだろ?」

「はい。しかしながら自称勇者などは数多くいる為、真偽の程は構わないのです。それよりもわたくしが特別気になったのは、魔王様とあの人族の関係です。どちらかと言うと、魔王様の方が気にされていた感じを受けました。」

 どう説明しようか迷いつつ口を開いた俺だが、ダミアンはストレートに確信をついてきた。

 あ~うん、分かる……よな。連結(リンク)で繋がっていなくても、あの時の俺は自分でも挙動不審だったと思うし。

「隠しても仕方ないから言うが、あれは俺の友達……だった。って過去形になるんだよな、きっと。」

 自嘲気味に笑うが、ダミアンからは声の反応がなかった。

 聞こえなかったのかと不思議に思い、落としていた視線を上げれば何故かふるふると震えている。──いったい何があった。


「ダミアン?」

「……はっ。申し訳ございません、魔王様。今の魔王様があまりにも(はかな)げで美しく……。」

 (いぶか)し気に問い掛ければ、恍惚とした表情で語り始める始末。

 俺はその言葉の途中でダミアンの腹を拳で殴って止める。

「おいっ。それ以上言ったらぶっ飛ばすぞ。」

 俺の拳程度では何のダメージも受けないのは分かっている為、俺は声を低くして警告しながら追加で闇魔力を放出した。

 悲しいかな、俺の腕力ごときではこいつにノーダメージなのである。

「あぁ、申し訳ございません魔王様。私とした事がつい嬉しく……あ、いえ過剰な反応をしてしまいました。」

 反省などしていなさそうに頭を下げるダミアンに、俺は内心舌打ちをした。

 この傷口に塩を塗るような真似、わざとなのか疑いたくなるぞ。


「とにかく。隼人は同郷のよしみだ。といっても、それすらアイツは覚えていないみたいだったが。」

「同郷の……、ですか。では、彼も召喚された異世界種なのですね。それ(ゆえ)、わたくしの索敵に掛からなかったのですか。納得しました。」

 俺の言葉に、ダミアンは訳知り顔で頷いた。

 何だよ、一人で納得しやがって。

 そんな風に不満に思っていたら、久し振りに魔王知識から映像が自動再生する。

 どうやら召喚された異世界の種族は、こちらの探知魔法が効かないらしい。つまりは俺もか。


「時折人族の中で異世界召喚が(おこな)われていますが、あれは所謂(いわゆる)禁呪です。呼び寄せるだけで還す事は出来ず、界を(ゆが)めて渡ってきた者に在らざる力を与えますが、対価として命を削ります。」

 話の初めの方はゲームみたいだと思っていた俺だったが、ダミアンの事も無げに告げられた後半の内容に目を見開いた。

「な……っ?」

「はい。残念ながらあの人族は、本来の寿命の半分も生きられません。そこが我々魔族の(おこな)う魔王選出の儀と異なるところですね。魔族の召喚とは根本的に違うのです。」

 驚愕する俺に構わず、ダミアンは何処か誇らしげに言い放つ。


 いやいや。どれが良いとかの問題じゃなくね?


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