2.魔王として何をしましょう─1
「まずは手始めに、ダミアン。お前の下半身に、物申す。」
認証の儀を行った部屋─摩核─から移動し、玉座の間にやって来た俺達。
そこでとりあえず、今から何をするかの話になった訳だ。
「わたくしの、ですか?」
不思議そうに小首を傾げるダミアン。
いや、綺麗な顔してるが、下半身は何度かの放出で湿ってるから。
「イチイチ俺の言動に反応して、イってるんじゃねえっ。」
思い切り指を差してやる。
出会って早々から、コイツはおかしかった。
この短時間の間に…、いったい何回昇天すれば気が済むんだよ。
「ですが、魔王様。我々の感情は…その、肉体と直結しておりまして。」
「それは聞いた!けど、頭では理解してるが、感情では納得出来んっ。縛っとけ!」
「良いんですかっ!?」
感情的になって怒鳴り付けると、何故か興奮した表情で食い気味に問い返された。
…お前、それで良いのか。
一気に怒りが冷え、冷めた目でダミアンを見る。
「魔王様。ヘイツ次期宰相候補は、肉体的絶倫、でしてな。他の四人の、次期宰相候補と比べても、身体能力は、ずば抜けております。」
淡々とインゴフが教えてくれる。
けど、そんな情報はいらん。
この顔で、絶倫って…いや、散々見せつけられたけど。ってか、それならどうすりゃ良いんだよ。
「他の次期宰相候補達が、こちらに戻れば、少しは落ち着くかも、しれませんな。」
インゴフはシレッと告げる。
他人事だと思って─いや、本当に他人事なんだけど。
だいたい、コイツを選んだのもアンタだろうがっ。
いかんっ。このままでは、変態話にしかならんではないか!
「ダミアン。俺の前でイくの、禁止な。」
「も、もしも…。」
「…通常状態に戻るまで、接近禁止。もしくは、おれの気分で接近禁止期間を設定する。」
アワアワと震えるダミアンだが、俺はそう言い捨ててやった。
だいたいもしもの心配するなんて、約束する気もないんじゃねぇかよ。
「返事はっ。」
「は、はい…っ。」
俺の鋭い問いに、ダミアンは勢い良く返事をする。
「とりあえず、着替えて来い。分かったな?」
「か、畏まりました。」
深く頭を下げ、ダミアンは玉座の間を退室していった。
「宜しいのですか?彼が一番、護衛に向いています。傍を離すのは、得策とは、思えませんがね。」
インゴフからは表情が見えないものの、何故だか楽しそうな雰囲気が伝わってくる。
くそっ、遊んでやがるな。
「いくら腕っぷしが強くても、隣で昇天されるのはどうかと思うぞっ。ってか、他の次期宰相候補達があぁだったら、俺はどんな無理しても帰るぞっ?!」
拳を握り締め、俺は立ち上がった。
俺は魔王とか言われて持ち上げられても、変態と共にありたくないんだっ!




