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召喚魔王の俺  作者: まひる
第3章
139/248

2.魔王と勇者は相容れません─4


「……こちらこそすまない。外部の者からしてみれば、我々の怒りは都合の良いものなのだろうな。確かにそれは分かっている。心情的に認めがたいだけなのだとも。」

「いいえ、根なし草の俺の言葉にそれほど重みはないですよ。あ、話は変わりますが、また勇者が来たって本当ですか?」

 謝罪大会になるのも時間の無駄なので、素直に頭を下げたネイドに首を横に振りつつ笑顔を向けた。

 その上で、本題の勇者情報を聞き出そうとする。


「あ、あぁ。噂には聞いたが、本当のところはどうかな。以前の勇者が魔王を倒してから、まだ一年も経ってないだろ?いつもなら勇者は何百年に一度しか降誕しないと聞くし。新しい魔王が力をつけて脅威になっていない今、勇者は何と戦うのやら。」

 するとネイドは、首を傾げながらそう答えてくれた。

 魔王知識にも、魔王が勇者に討伐されるのは何百から何千年に一度らしい。そして勇者は本来、強い魔力と圧倒的身体能力を持ってこの世に生誕するとの事。

 まぁそれにしても、そんなに頻繁に魔王が入れ替わっていたら、それに伴う魔族のトップ──宰相と四魔将軍──の力関係が崩れる。そうなると必然的に魔族全体の統率が取れなくなり、世界中で魔族対他種族の全面戦争となるだろう。

 そんな事になれば一気に荒廃が進み、この世界は生物が生息出来ない大地となってしまう。


「それでも噂はあるんですね?」

「そうだな。まだ魔族の国に入ったとは聞かないが、人族の国の国境付近で魔物狩りをしているとかいないとか。単なる英雄気取りの体力バカかもしれんが、人族の国には勇者召喚という魔法があると聞く。魔物駆除に喚ばれたのかもしれないな。」

「魔物狩りですか。」

 ネイドの話に俺は考え込む。

 魔物は魔族の国の国境付近に多く、それは縄張りの主張的な意味合いでわざと配置されているのだ。強い魔物が一部の拠点にしかいないのは、無闇に人族を刺激しない為。

 魔族達が国土内に散らばっているのも同じ理由で、もし国境の魔物を必要以上に狩られるのならば話は変わってくる。


「魔物狩りをしていると噂されるのは北の森ですか?」

「あぁ。もしこちら側に噂の人物が入ってきているのであれば、この集落に立ち寄らない訳はないだろうからな。まだ来ていない事は確かだと思うぞ?」

「そうですか、ありがとうございます。では人族の国に入るのに、北の森を使うのは止めておきますよ。魔物と間違って射殺されても堪らないですからね。」

「ハハッ、そうだな。我々も最近ではあまり森に入らないようにしているくらいだ。君も気を付けると良い。」

 茶化すように告げれば、ネイドは人の良さそうな笑みを浮かべて笑う。

 とりあえずはこの集落の人族は、魔族に敵対までしていない事が判明した。

 全ての人族が敵だと、精神的にかなりやりにくいからな。


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