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召喚魔王の俺  作者: まひる
第3章
135/248

1.魔王は人族でした─10


「無理。あれは鬼族鴉天狗種の(おさ)のもの。持ち出せない。」

「あ~、やっぱり?……それなら同様の小結界を作れる、みたいな道具はないか?俺の魔力を抑える事が出来る高性能の品なんて、鬼族鴉天狗種の集落でしか見た事がないからな。」

 そう言いながら、俺は思い返す。

 反対派の獣人に襲われた時も魔法が使えなかったが、あれはどちらかと言うと魔力を封じた訳ではなく、麻痺した身体で声が出せず視界を奪われた事に寄る弊害だろう。混乱していたしな。

 詠唱なしで魔法を使える事も分かっているし、気配を読めばイメージを確立させる事も可能なのだから。


「同様の……ん。それならある。潜入調査用のマント。」

「マジで?それ貸してくれっ。」

 喜色満面に食いつく俺に、アルフォシーナは再びキョトンと目を丸くした。

 可愛いじゃないか。

「……魔王様。何処行くの。」

 だがすぐ(いぶか)しげに表情を(ゆが)める。

 まぁ、いくらなんでも気付くか。魔力を隠して行くところなんて、ろくでもない場所だと分かるし。


「人族の集落……。」

「ダメ。」

 速攻ダメ出しだった。

 しかも基本的に真顔だからか、何か地味にダメージを食らう。

「だからな?」

「ダメ。」

 その先の言葉を言わせてもくれず、アルフォシーナに拒否されるばかりだ。

 ダメだ、話し合いにすらならない。


「あ、宰相様から呼び出し。」

 ピクリと何かに反応したアルフォシーナは、淡々とそれだけ告げる。

 俺には聞こえないが、ダミアンからの四魔将軍召集があったようだ。

「……分かった。行ってこい。」

 あからさまに肩を落とした俺は、用事は済んだとばかりに片手をヒラヒラと振り、アルフォシーナの退室を促す。

 呼び出し前に話をつけたかったが、思ったよりも頑固で打ち負けた俺。


 こうなったら、ダミアンの説得に賭けるしかない。

 俺は溜め息と共にソファーに沈んだ後、再び執務机に向かう。

 暫く留守にするつもりならば、この机の上くらいは片付けておかねばならない。そうでないとその後の俺が死ぬ。

 というか俺はダミアンも巻き込むつもりなので、尚更書類が大変な事になると簡単に予想出来るのだ。他の魔族達は基本、書類整理に向いていないからである。

「何だ、この書類は……。」

 だが手に持った一発目から不備ばかりの羊皮紙に当たる。

 しかも署名を見れば、『また』ジスヴァルト・ギュンタだ。ここまでされると本当に嫌がらせとしか思えない。


「はい、やり直し。」

 再考の箱に投げ入れると、俺は再び数を減らすべく仕事に取り掛かる。

 一枚一枚に無駄に時間を掛けている暇はないのだ。

 まぁ、実際には人族の集落に行きたいだけでもある。要は、目の前に人参だ。

 ふっ……、これでダメとか言われても俺は行くがなっ。


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