表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚魔王の俺  作者: まひる
第3章
134/248

1.魔王は人族でした─9


「いや、人族を擁護(ようご)するつもりは全くないんだけどさ。今の問題は、人族の動向理由と勇者の存在確認なんだと思う。魔族の国にも人族の集落があるんだろ?ちょっと行って聞き込んでくるだけだって。ほら、髪と目と魔力を隠したら俺、人族の子供と変わらないしさ。」

 俺は出来るだけ軽く言葉を紡ぎつつも、ダミアンを説得する。

 この世界の人族に会ってみたいという好奇心は勿論あるが、それ以上に俺はこの魔族の国の王だ。調査しなくてはならないという義務感が強い。


「魔王様。魔族の国にあるとは言えども、人族には変わりありません。魔族を敵視しているのは勿論の事……。」

「分かってるって。そんなに心配ならお前も来れば良いじゃん。」

「えっ。」

 それでも言い募ろうとしたダミアンに、俺は押しの一手。即座に黙り混むダミアンは、すぐにヘラリと表情を崩す。

 本当に残念だな、こういうところ。俺はある意味使いやすくはあるけどな。


「その形態以外もとれるんだろ?勿論、人族に馴染みあるって意味でな。」

「それは……はい。」

「見張り役兼護衛兼使い走りで良いじゃん。」

 ニッと良い笑顔を向ける俺。

「……最後の方に引っ掛かる言葉があったように思えますが。」

「細かい事を気にすんなって。」

「はい……。畏まりました。四魔将軍と打ち合わせの上、ご報告いたします。それまでは決してお出掛けにならないようにお願い致します。」

「はいはい、分かってるって。宜しく~。」

 渋々といった感を隠しはしないダミアンの退室を、笑顔で手を振って見送った。


「アルフォシーナ。」

「何、魔王様。」

 呟くように名を呼ぶだけで、諜報担当の彼女は目の前に(ひざまず)いた姿で現れる。

 連結(リンク)しているからなのか、能力的な過信なのか。彼女は何処にいても呼べば来てくれる──無条件にそんな信頼を向けている自分にも呆れるけどな。


「後でダミアンから説明があるから知れるが、少し出掛ける。」

「あたしは魔王様についていく。」

 予想通り、アルフォシーナは俺の言葉に食い気味に告げた。

 だからこそ、個別に呼んだんだけどな。

「いや。アルフォシーナはここにいてくれ。恐らく、こっちにも何らかのアクションを起こす筈なんだ。」

「いや。あたしは魔王様を守る。」

「アルフォシーナ。それは分かるんだけど、今は別の事を頼みたくてな。」

 真っ直ぐに俺を守ると言ってくれる部下は頼もしい。

 けれど、守られてばかりでは変化を起こす事は出来ないのだ。


「何。魔王様からの頼み。」

「アルフォシーナのところの『封じの魔石』、貸してくれないか?」

「魔力封じ?」

 意気込んでいたアルフォシーナは、俺の頼みにキョトンと小首を傾げる。

 うん。やはり自分よりも小柄な彼女は見ていて可愛いものだな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ