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召喚魔王の俺  作者: まひる
第3章
131/248

1.魔王は人族でした─6


「そうか……。」

 何だか居たたまれなくなる。

 自分が仕出かした事で部下が迷惑を(こうむ)ってはダメだろ。

「魔力が回復したら俺も手伝おう。」

「いいえ、滅相もございませぬっ。」

「ばぁか、邪魔だっての~。」

「蒼真は別にお仕事があるじゃないのぉ。」

「魔王様の仕事、たくさんある。」

 俺の一言に、総出で反対の声が上がった。

──お、おぅ…。

 思わず(ひる)んでしまう程、皆の意見が一致していたのである。


「魔王様。明日には魔力が回復するでしょうが、本日の件と相俟(あいま)って、明日の書類は二山(ふたやま)ではすまないかと思われますが。」

 若干申し訳なさそうに、ダミアンが告げた。

 あ、そうか。これ等の処理の書類も追加されるのか。


 思わず遠い目をしてしまうのは、仕方のない事だろう。これを自業自得というのかもしれない。

 それに、ダミアンも巻き込んでいるのは事実だ。

「分かった。」

 出そうになる溜め息をどうにか呑み込み、俺は素直に首肯するのだった。

 否。せざるを得なかったのである。


「それでは、我々は持ち場に戻ります(ゆえ)。」

「あぁ、手間を掛けさせた。」

「大人しく寝ているのよぉ?あ、ダミアンちゃんは蒼真を襲わないようにねぇ。」

「し、しませんっ。」

「ヤるなら分からないようにな~。」

「フランツ、うるさい。」

「あたしが見張ってる。」

「お、おぅ。」

「魔王様の回復の邪魔ですから、皆さんは仕事をしてくださいね。どちらにせよ、わたくしは動けませんが。」

 口々に告げる四魔将軍達の言葉に、俺とダミアンが返答しながらの一時(ひととき)

 しかし何故だか微妙に楽しくもあった。


「……さてと。とりあえずストレスは発散出来た。」

 皆が退室した後の変な静かに堪えきれず、俺は独り言のように呟く。

「仕事が増えた感じはしなくもないですが、魔王様は身の内に溜め込み過ぎる感があります。暴発しない為にも、もう少し魔力を放出した方が宜しいかと。」

「うっせぇ。事務仕事ばかりの日々で、何処にそんな余裕があるって言うんだよ。」

「それもそうなのですがね。」

 ダミアンが困ったように告げるが、俺は呆れを滲ませながら答えた。


 と言うか、何故こんなに書類ばかりなんだ魔族。

 それとも人に限らず、上層部はこんなものなのか?


 俺は自由に動けない身体を(もてあそ)びつつも、この先の(まつりごと)に気が遠くなりそうだった。


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