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召喚魔王の俺  作者: まひる
第3章
127/248

1.魔王は人族でした─2


「やっぱり、魔力の得手不得手もあるんだろうな。氷と風の魔法には、めっぽう強いし。」

 俺は(ちゅう)に炎と土の魔力で作り上げた針を浮かせていた。長さは50センチ程で、太さは親指くらい。

 だがダミアンは、(いま)だに戦闘体勢に入らない。両腕を下げたまま両足を広げて立ち、真っ直ぐ俺を見ている。

「何故構えない。ナメてんのか?」

 これがまともに当たれば、確実に傷を付ける。

 肩で息をしているダミアンだが、まだまだ余力は残している筈だ。見た目は何とか立ち上がっているふうだが、その瞳からは輝きが消えていないから。


「ふふふ…っ。」

 眉頭を寄せる俺に対し、何故かダミアンは楽しそうに笑い出す。

「わたくしは楽しいのですよ。これ程までに己に土を付ける者等、あなた様以外にはおりませぬから。」

「…あぁ、そうかい。んじゃ、そのまま射抜かれろ。」

 俺は言葉が終わると共に、ダミアンに向けて魔法の針を飛ばした。

 それは避けもしない彼の両肩を軽々と撃ち抜き、地下鍛練場の反対側の壁に突き刺さる。

 両肩を射抜かれたダミアンは、攻撃を受けた直後は後ろに揺らめいたものの、反動で前方に上半身を倒したまま動かなくなった。

 そのまま静寂が場を制する。


「く…、くくく…っ。」

 押し殺した声が聞こえ、笑い声だと気付くのに時間は掛からなかった。

 俺はそれに対し、スイッチが入ったな、くらいにか思わなかったが。

「あ~…、何て楽しいのでしょう。この感覚…、素敵ですねぇ…っ。」

 ダミアンはそう言いながらも、左肩の()に右の人差し指をグリグリと突き刺し、掻き回す。

 黒い靄がいっそう沸き上がり、大気に溶けていった。


「良いですよ、魔王様。制限が解除されました。さぁ、もっと楽しく遊びましょうか。」

 バサリと背中の翼を広げると、ダミアンはフワリと浮かび上がる。

 表情は恍惚としていて笑みまで浮かべていたが、先程までとは明らかに気迫が違った。──言うなれば殺気。


「良いぜ。」

 知らず笑みを浮かべた俺は、半分魔力に酔っていたのだろう。

氷針(アイスニードル)。」

 ダミアンがニコッと微笑んで魔法を発動。周囲に何百、何千の氷の針が発生する。

 間をおかず、それ等は一直線に俺へ向かって飛んできた。

土壁(グラウンドシェード)。」

 風の盾では心許ないと思い、土の壁を形成する。

 直後、弾丸の嵐を受けるかのような連続した打撃音が響いた。


 その轟音の最中、上空に向けた土壁の隙間──足元からダミアンが飛び込んでくる。

「くっ!」

 咄嗟に後ろ向きに飛ぶも、奴のスピードの方が上だった。


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