表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
123/248

6.魔王は試作試行役ですか─9


 あれから宝物庫はダミアンと粗方(あらかた)魔道具を確認し、種類ごとに纏めておいた。

 やはりというか、攻撃補佐的な魔道具が多かったな。使うのは魔族である為、攻撃ならば自分達で(おこな)った方が手っ取り早いからなのだろうけど。


「で、お前がニコラだな。」

 そして今、俺がいる場所はダミアンの執務室。目の前にはニコラである。

 彼は前と同じくフードを深く(かぶ)ってはいるが、何故呼ばれたのか分からず不安気にソワソワと目を泳がせているのが気配で分かった。

「…はい…。」

 問い掛けには小声で応えるものの、決して顔を上げて俺の目を見ようとはしない。

 まぁ、それは俺が無意識に垂れ流している魔力のせいもあるんだろうけど。何故だか不快に感じた──ケッ。


「ニコラ・アデル。魔王様は貴方に無体を()いる訳ではありません。フードを取りなさい。」

 静かな口調でダミアンが告げた。

 いやいや。ただでさえ怯えて萎縮(いしゅく)しているのに、唯一の自分を守るフードを取れとか、鬼だろ。あ、ダミアンは鬼族であるんだが。

「…は、い…。」

  ニコラは物凄く小声で応じ、震える手でフードを外す。その瞬間、ピョコンと真っ白な兎耳が飛び出した。


──おおおぉぉ~…。さ、触りたいっ。モフモフの白い兎耳…、良いいいいぃっ!


 思わず目を見開き、ニコラの耳を凝視する。

 ここで叫ばなかっただけ、まだ許されるだろう。それくらい俺は興奮していた。

 だがそれを出さずに問う。

「ニコラは魔道具に詳しいと聞いたのだが?」

「は、はい…。あの…少し、は…。」

 ビクッと大きく震え、ソファーに沈みそうな程小さくなって応えるニコラ。

 何だか、こっちが苛めている感じに見えるのは気のせいじゃないよな。


「あの筋肉と魔道具が好きなコンラートの下で働いているのだろ?少し詳しいくらいじゃ、キツイんじゃないか?」

「あ…、いえ…。その…。他の魔族よりは…詳しいと…。」

 俺の(あざけ)るような言葉に、ニコラは慌てて訂正をし始めた。

 やはり、コンラートの下で魔道具補佐官をしているという自負はあるんだな。


「ん、じゃあ決まりだ。」

「は…い?」

「魔王様。御言葉ながら、まだニコラ・アデルに説明をしておりませぬ。」

 (ほう)けたニコラに代わり、ダミアンが進言する。

「あ、そうだったか?…ダミアン。」

 俺はいつものように斜め左後ろに視線を向け、説明役をダミアンに丸投げした。


「はっ。ではニコラ・アデル、わたくしから説明をさせていただきます。魔王様は魔道具の応用的な発展に御興味を抱いておられます。魔力要素に(こだわ)る事なく。攻防問わず。コンラートに様々なアイデアを与えてくれませんか。勿論、都度の報酬を考えています。魔道具の成果ありきですが。」

「…っ、はいっ。」

 ダミアンの説明が終わると、ニコラは一瞬目を見開いたもののハッキリと声を上げて首肯する。

 それは今までになく、生き生きとしたものだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ