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召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
111/248

5.魔王を誘惑してはいけません─7


 翌日。

 早朝からダミアンの報告を受けた俺は、再びミカエラの執務室に足を運んでいた。

 本来ならば向こうが来るのが筋だろうが──ってのは、もう良いな。


 昨日同様、先導させたダミアンがミカエラの執務室の扉を叩く。

「いらっしゃ~い、蒼真(そうま)ぁ。あと、ダミアンちゃんもありがと~。」

 ここはバーかと思うような仕草(しぐさ)で扉を開けてくれたミカエラ。大きく扉を開け、にこやかに入室を促してくる。

 それに対し、俺は無言で中へと足を踏み入れ──中にいる人物を確認して(わず)かに目を見開いた。


「なぁに?蒼真ぁ。わっち、何処かおかしいかしらぁ。」

 窓際に立っていた人物──ってか、ミカエラ──が頬に手を当てて小首を(かし)げる。

 俺は思わず後ろを振り返り、扉を開けてくれた彼女を見た。──同じである。

「「蒼真ぁ?」」

 前と後ろから二重音声が聞こえた。

 双子──ではない。これはミカエラの分身であり、彼女の得意とする能力だ。それは分かっている。


「記憶は共有しているのだな?」

「「えぇ。」わっちは分身を己と同一の個体として動かす事が出来るのよぉ?」

 俺の問い掛けに同時に返答するが、その後は窓際に立つミカエラが話を続ける。

 二人で会話を続けられなくて何よりだ。

「実際の記憶は、分身が呼び掛けた時と消える時に統合される感じかしらぁ。意識すれば離れた場所にいる分身の記憶を読み取る事も可能ねぇ。」

 両腕を後ろに組み、胸を突き出す形でクネクネと動く。

 無駄な動きが多いが、魔族でも女体に意識を奪われるものが多い事も事実だろう。


「それで?」

「え~っ、まだ足りないのぉ?」

「報告書もまともに出していないだろ。」

「ん~っ、それはぁ…ダミアンちゃんに任せたのぉ。」

 少なからずとも報告書があれば行動内容が掴めるのだが、次期宰相候補者達は揃って書類仕事を避けて通るらしい。


「ダミアン。これは改善の余地ありだぞ。」

「はっ。」

 執務室ソファーに腰を下ろしている俺の斜め後ろに、相変わらず定位置のダミアンだ。

 彼自身も書類仕事をメインにしているが、必要最低限の重要案件くらいしか書き残してはいない。──つまりほぼ全滅である。


「だってぇ。」

「だってじゃない。人族の討伐に関する報告書も、誰だったか下の者に書かせていただろ。」

「魔族なのだからぁ、細かい事は良いじゃないのぉ。」

「魔族でも、だ。俺が必要としている、ではダメなのか?」

 いつまでも魔族の国が安泰であるとは限らないのである。

 しかし、ただでさえ個人主義の強い魔族だ。魔王相手とは言っても、“面倒”の一言で終わりそうな気がする。

 (げん)に、次期宰相候補達ですら()()なのだ。


──変に盛って肉欲を強調されるよりは、文章書くの嫌ってくらい可愛いものだけどな。


文章訂正2017,02,14

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