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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
11/248

1.魔王になりました─7

 ドンドンと、地鳴りのような音が聞こえる。

「魔法士様、開けて下さいっ。」

 どうやら、廊下でダミアンが暴れているようだ。

 ってか、自分では中に入れないのか?

「騒々しいの、ヘイツ次期宰相候補。」

 のんびりとした様子でインゴフが応え、スルスルと扉まで()って行く。

 何だ?その毛むくじゃらの足は、歩行する為についてる訳じゃないのかよ。


「少しは、静かに、待てんのか。」

 インゴフは巨大な黒い扉を開け、その下にいた翼ある男をみやる。

 やっぱり、簡単に開くんじゃないかよ。ってかインゴフ、ダミアンと比べても本当に大きいな。


 ボンヤリと二人のやり取りを見ていたが、ダミアンはインゴフに(たい)した説明もなく、横をすり抜ける。

 そして何故か、俺の(そば)にツカツカと、しかも足早に歩み寄ってきた。


「…何だよ、ダミアン。」

 インゴフ程の高さではないにしろ、近くで見下ろされるのは(しゃく)(さわ)る。

 先程の動揺もあり、問い返す声が(わず)かに震えてしまった。

 それに気付いて焦った俺だったが、反論する間もなく、ダミアンに(ひざまず)かれる。

「なっ?!」

此度(こたび)の乱入、申し訳ございません。あまりにも魔王様のお心が波立っておられた(ゆえ)、大人しくなど待っていられませんでした。」

 深く(こうべ)を下げたまま、ダミアンが静かに告げた。


「…別に俺は、ダミアンが入ってきても、都合悪い事はないけどな。」

 色々問いたいが、とりあえず目の前で(ひざまず)かれているのが気になる。

「それでは、お許し頂けると申されますか?わたくしがお(そば)にいても、宜しいのですね?」

「あ、あぁ…。」

 勢い良く顔を上げられ、すがるように言い(つの)られた。

 その強い口調で、許すも何もないと思うがな。


 思わず頷くと、今度は勢い良く立ち上がり、覆い被されるように抱き付かれた。

「っ!や、やめろっ!」

「嬉しいです、嬉しいですっ!魔王様~っ。」

 だがそれに対し、インゴフが制止の声を掛ける。

阿呆(あほう)、やめんか、ヘイツ次期宰相候補。ソーマの息の根を、とめるつもりか?」

「ソーマ…?魔法士様っ。貴方ともあろうお方が、魔王様をその様な、し、し、し、親しげな呼び方をするなどっ!」

 今度はインゴフに向かって、食って掛かるダミアン。


 何が怒りのスイッチだか、俺にはさっぱりだ。

 でもって、それよりも俺を解放しろ。本当に息の根を止める気かよ。

 ダミアンの胸元に顔を押し付けられる形で、動きを封じられている俺。そろそろ本当に、酸欠でヤバい。


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