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召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
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5.魔王を誘惑してはいけません─3


 俺は視線を巡らせ、ミカエラの姿を確認する。

 彼女はダミアンから突き飛ばされたのか、壁際にすがり付くように座り込んでいた。

「…大丈夫か、ミカエラ。」

「え…っ?あ、はいっ!」

 呆然自失としていたミカエラだったが、俺の声に跳ねるように立ち上がる。

 若干顔がひきつっているのは、先程まで立っていた床を見ていたからか。


「ご、ゴメンなさい魔王様…っ。」

 少し震えた声でミカエラが頭を下げた。その青ざめた顔に、俺は自嘲の笑みが浮かぶ。

 怖がらせてしまったな、これは。

「…何だ。もう蒼真(そうま)と呼んではくれないのか。」

「っ?!」

 俺の(あざけ)るような言葉に息を呑むミカエラ。


 ダミアンが俺の肩に触れ、屈むように俺の耳に顔を近付けた。

「魔王様。ここでは…。」

「あぁ、そうだな。」

 廊下で話していた事を指摘され、改めてミカエラに視線を移す。

「あ、どうぞ…。」

「あぁ。」

 オドオドとしながらも、(ようや)くミカエラは俺を執務室へ促した。

 ダメだ、完全に(おび)えられている。


 執務室内に入ったは良いものの、部屋の(あるじ)は明らかに俺の様子を伺っていた。上目遣いで見上げ、ソワソワしている。

「次はミカエラを観察対象にしようかと思ったが、やめた方が良さそうだな。」

「えっ?や…、そんな…事は…っ。」

 少し溜め息をつきながら告げると、先程までとは違った慌て具合でバタバタし始めた。

 どうしたいのか分からないが、やめてほしくはない様子…か?


「ハッキリとしなさい、ミカエラ。魔王様は御忙しいのです。コンラートでも構わないのです。」

「それは嫌っ。わっちは蒼真と一緒にいたいのよぉ!何でダミアンちゃんはそうやって冷たく言うのぉ?」

 ダミアンの冷たい突き放すような態度に、ミカエラは頬を赤らめて怒り出す。

「ミカエラがハッキリと答えないからです。先程の事は明らかに貴女に非があります。きちんとした謝罪もまだ。自己の主張しかしない。これ以上は許しませんよ。」

「あ…っ。魔王様、申し訳ございませんでした。」

 ソファーに座った俺の斜め後ろに当たり前のように立つダミアンは、感情を見せない冷たい言葉を続けた。それを受け、ミカエラは慌てて俺に頭を下げて謝罪を告げる。

 やはり、ダミアンの方が立場が上なのか。


「…良い。分かった。それで、ミカエラは俺がいても問題ないんだな?」

「は、はいっ!わっちは蒼真と一緒にいたいのよぉ。遊んでぇ?」

「いや、遊ばないから。分かってるんだろ?俺は次期宰相候補者を決める為の選考中だ。」

 確認の言葉に、急にしなをつくってみせたミカエラをバサリと切り捨てた。

 ダミアンとは違った意味で疲れるキャラだな、本当に。


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