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召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
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4.魔王が仲介します─10


 この時間の三バカ鍛練が終わったのか、フラヴィアーノが俺に向き直った。

「魔王様。鬼族鴉天狗種への返答は議会を通しまして、こちらから連絡をさせていただきます。担当が誰になるかまだ分かりませんが、問題なければわたくしが務めたいと考えております。」

「あぁ、それで良い。」

 フラヴィアーノの真っ直ぐ向けられた視線を返しながら、俺は答える。

 彼が使者になれば、アルフォシーナに堂々と会いに行けるからな。


「御心遣いに感謝申し上げます。」

 深く頭を下げるフラヴィアーノに、俺は軽く片手を上げて背を向ける。

「任せる。行くぞ、アルフォシーナ。」

 そして闇魔力で背に翼を形成して宙に舞い上がった。アルフォシーナも続けて飛び立つ。

 これで竜族と鬼族鴉天狗種との媒介は終了だ。仲介者としての仕事はここまでだろう。


 魔王城へ帰る道すがら、何気に自分を振り返った。

 俺のこの翼、無意識にイメージだけで作ってるけど魔法だよな。詠唱なしで発動させてるけど、闇影(ダークシャドウ)の一種か?

 自分の能力で飛んでいる事に間違いはないから、他者にどうこう言われる筋合いはない筈。だが、無詠唱を依然驚かれた事に思い当たった。


「アルフォシーナ。俺のこの羽根、違和感があるか?」

「ない。魔王様の魔力を感じる。綺麗。」

 ダミアンみたいに恍惚(こうこつ)とならず、淡々と口にするアルフォシーナである。でも、珍しく感情論が混ざった。

 鬼族鴉天狗種は黒い鴉の翼を持つ種族の為、大きな黒い翼を持つ者も存在する。つまりは見慣れている。

「見慣れているからか?」

「違う。魔王様の羽根、輝いている。だから綺麗。」

 父親と同じ真っ直ぐな視線を返してくるアルフォシーナ。

 輝いて…。魔力の影響か?いや、身内贔屓か?


「そうか。まぁ、違和感がないなら良いや。」

「ん。…魔王様、ありがとう。」

 ボソッと小さな声で礼を告げるアルフォシーナに、俺は思わず振り返った。

「あ~…まぁ…、何だ。たまには集落に帰れよ?」

 頬を赤らめている彼女に、俺は戸惑いつつも今まで思っていた事を口にする。


 あの嫌な空気に触れるのが嫌だったのだろう。アルフォシーナは魔王城の自分の執務室で寝起きをしていたのだ。

 だが、これからそれは大きく変わる筈である。

「ん。」

 声と同じく小さく頷いたアルフォシーナは、(わず)かに口角が上がっていた。

 久し振りにみたデレに不思議な喜びを感じつつ、俺達は魔王城へと帰還したのである。


 これでアルフォシーナの観察は終わりだな。


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