表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
102/248

4.魔王が仲介します─8


 あれから鬼族鴉天狗種の集落では何の問題も出てない。勿論、竜族の里もだ。

 それぞれが自分達の中で解決出来ているうちは、俺が口を出す必要もないからな。だが、全く放置はしていない。


「魔王様。今日も見回り?」

「あぁ。アルフォシーナの問題は家事スキルの欠落だったが、竜族と鬼族鴉天狗種の種族間問題は放置しておけないからな。」

 疑問に小首を(かし)げるアルフォシーナに、俺は闇魔力で形成された翼で羽ばたきながら告げた。

 ここは上空。彼女も自らの羽根で斜め後ろを追随してくる。

 あの腰についた(からす)羽根は飾りではなく、実際に飛ぶ事が可能だったな。

「竜族は鬼族に無関心。」

 淡々と事実を口にするアルフォシーナだが、俺の内心は違った。


─逆に鬼族は、竜族に対して強いコンプレックスを持っている。

 そう、俺は考えている。事実体格差はあれど、能力的な差はあまりない。

 種族内でも勿論異なるが、魔力・腕力ともに並び立つのがその二種族なのだ。大きな違いと言えば竜族はブレスを出し、鬼族は個体特殊能力を持つ事くらい。


「魔王様。今日は先に鬼族鴉天狗種(う ち)?」

「そうだな。(おさ)に鍛練方法の変更を模索するように伝えてから二日経つから、そろそろ結論を聞きに行こうかと思ってる。」

「ん。うちが弱体化してきているのも、鍛練方法が甘いから。」

 ハッキリ告げる彼女は、別段間違った事を言っているのではない。

 幼い頃から鬼族鴉天狗種としての鍛練を受けつつ、竜族の厳しい鍛練も受けていたのだ。

「まぁ、アルフォシーナは竜族の父さん(フラヴィアーノ)から鍛練を受けてたんだろ?」

「ん。父様、人形(ひとがた)で鍛練してくれた。」

 受け答えは淡々としているが、心なしか嬉しそうな感情が伝わってくる。

 まぁ、普段が離れて暮らしているから殊更(ことさら)そう思うのだろうがな。


 ◆ ◆ ◆


「さて、結論は出たかな?」

 俺は今、鬼族鴉天狗種の(おさ)と相対している。

 鴉天狗種の(おさ)は長い鼻と山伏のような羽織りを纏った、背に大振りの鴉羽根を持つ御仁(ごじん)だ。

 その威厳ある風格に、あの三バカの(くちばし)を思い浮かべて並べる。うん。色々と足りなさすぎて、周囲の見限り感半端ない。


「うむ。魔王様の仰るように、我々は竜族から教えを()おうと思いまする。」

 多少周囲がざわついたが、(おさ)も考え尽くした結果だろう事はその真っ直ぐな金色の瞳で分かる。

「そうか。互いの良い点を探し、少しでも魔族が強くある事を望んでほしい。」

「はっ。」

 俺の言葉に(こうべ)をたれる皆。

 納得出来ない部分はあるだろうが、それでも(おさ)が出した結論に従おうとするものなのだろう。


 つまりは、俺に対する忠義ではない。─くそぉ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ