三話
「魔王よ、我ら魔物、魔族共を下僕として従えよ。我らは貴方様の召喚を希望する。我らの魂は貴方様の物どうか、異世界より召喚されよ。・・・。汝に、地位を・・・。」
此処は、異世界アルカディア。人間と魔物、魔族が長年にわたり、争い続ける世界。魔族の中には人間に協力する者もいるが、それはまた別の話である。そのアルカディアの世界に、未だ主のいない魔王城がある。その魔王城で今正に魔王を召喚する儀式が行われている所だった。召喚師の名はティピト。今の魔王城の最高責任者である。初老の短命種の魔物で、中々強い力を持っている。多くの魔物が見守る中、呪文を唱え続けている。
「ティピト様って凄げえよな、自分の命を生贄にしてまで魔王様を召喚するなんて」
「だよな、俺たちには考えられないよ」
魔王召喚には自らの命を犠牲にしなければならない。何故ならば、召喚師の命を奪いながら召喚されるからだ。唱えている間も魔力や生命力は奪われていく。
暫く呪文を唱えているとティピトの体に異変が起きてきた。体が縮んできたのだ。それでもティピトは呪文を唱えるのを止めない。それと同時に魔法陣が出てきた。暗く鈍い光を放っている
「おいおい、あの魔法陣は最高種の魔法陣じゃないか?」
「ええ!?最高種って史上最強じゃん!!」
魔物たちが騒ぐ中、ティピトはまだ呪文を唱え続ける。そしてついに、ティピトの呪文が終わった。それと同時に徐々にティピトの体が消えていく、
「ティピト様!!」
「お前たち・・・。魔王様に忠義を尽くすのだ・・・。そうすれば、我らの願いは叶うだろう・・・。ああ、人間達を滅ぼすのだ・・・。」
そう言い残し、ティピトは消えて逝った。そしてその直後、魔法陣から人影が見えてくる。同時に、上質な魔力で部屋中が満たされていく。そして
仮面を被り、ローブに身を包んだ魔王が召喚された。そう、現:神埼春である。
彼女の思考はこうだ
{おお!!沢山ひと?が居る!!ま、魔王だしちょっとカッコつけてやろう。うひひ}
春の最初の一言はこうだ
「余は魔王である。お主たちは何者だ。」
{おっしゃきまった!!}
・・・。めんどくさいので、今から彼女の視点に変えよう
皆びっくりしてる!!ぐへへへへ!!・・・。あ、でも今こんな登場しちゃったから態度変えらんないや・・・。てか中二病丸出しじゃん!!このキャラでやってくのかー。きっついなー。
そんなこと考えてると、一人が口を開いた
「は、我らは魔王様の忠実な下僕でございます!!」
やべえ、調子ぶっこいた結果だよ。
「ふむ、そうか」
あばばばば、すでにこのキャラ辛い!!なんだよ!!「ふむ、そうか」って!!痛い奴か!?痛い奴だよ!!
あ、そういやステータスって見れるのかな?試しに念じてみると、なんかでてきた!!
ステータス
〇〇・フォレクシア 種族 魔王
LV1 基本不死種 年齢不明 女
HP 7000/7000 MP 10000/10000
攻撃力 500 防御力 200 知力 400 素早さ 500
魔法攻撃力 1000
スキル・技へ移りますか?
・・・。なんっじゃこっりゃぁあああああああ!!????
い、いくら魔王だからってLV1からこんなに強くていいのか!?いいんだな!?というかこの世界の強いの基準が良く分かんないけど強い気がする!!
てか、私ってこんな頭良くないって・・・。いや、馬鹿じゃないけどさ・・・。
あ、スキルと技は後でいいかな・・・。面度っちいし
そんなこと考えてると、一人が声をかけてきた
「大変失礼なのは理解しておりますが・・・。どうか、お名前をお名乗り下さい!!!!」
あ、全然失礼じゃないよ、てか普通じゃん、逆に今まで名乗らなかった私が失礼だわ。魔王だーってしかいってないじゃん。おお、痛い痛い
えーっと、さてさて・・・。フォレクシアって名字だろうし・・・。〇〇あったし・・・。そうだ!!春を英語にして、スプリングでどうだろう。うん。かっこいいネ。中二心を擽るよ。と、いうことで・・・
「我の名は、スプリング・フォレクシアだ」
「ははあっ!!とても素晴らしいお名前です!!」
をを!?お世辞でも嬉しい!!
「魔王様!捧げものがございます!」
「なんだ、申してみよ」
うへへへへ!!超嬉しい!!捧げものかあ、なんだろ?初めてのプレゼントですね!?わかります!!
「只今持って参りますので、少々お待ち下さい!!」
ワクワク、ドキドキ、ウフウフ、ジュルジュル おおっと、きもいきもい
「お持ちしました!!」
うほほー!!これは・・・。これ・・は・・・?
「魔王様専用の奴隷です。これは、人間初の長命種で、おまけにアルビノの奴隷です!寿命が長いので、長いこと使えますが、別に食べても…。魔王様?」
とりあえず、こいつのステータスを見る。
ステータス
ガジビデ 種族 リタ―デーモン 男
LV20 30歳 短命種
HP 200 MP100
攻撃力 25 防御力 30 知力 3 素早さ 50 魔法攻撃力 2
スキル・技
ファイアボール アイスボール
体再生
ふむ、相手のはスキルも技も最初から見えるのか・・・。しかし弱いな。ゴミのようだ。いや、ゴミだ。ゴミ野郎だ。とりあえず
「ダークカッター」
頭の中で想像しながら唱えた。なんとなく、技の出し方はわかった。この魔法は、闇で相手を切り裂くらしい。その通り、こいつの腕を素早く切り落とした
血が噴き出し、情けなく泣き叫ぶ。
「ヒール」
そして、再生させる。気持ち悪い音を出しながら腕が生えてくる
「二度と奴隷をつれてくるな。命令だ」
低く、重い声で言ってやった
「は、はいぃぃぃ」
叫びながらどこかへ行ってしまった
・・・。ぶ、文化がちがうんだよね・・・。悪いことしたなあ
でも、奴隷なんて絶対にあってはいけないと、私は思った。まず、ここをなんとかしないと
「で、では、この奴隷は魔王様の食卓に・・・」
「まて、それは許さぬ」
ヒッと声をあげられた。そりゃあ怖がるよね。いきなりあんなことしたから。
でも、あれが悪い!!うん。それでいいや
「あ、あぅ・・・。」
連れて来られた子の方を見る。可哀そうに、震えてる。吐いたり、でちゃあ嫌なものも出てる。いや、半分私のせいですけどね!!うん。しょうがない!あ、また吐いた。いやあ。やべえ人が近づいて来てるんだもん。しょうがないわ。
さてさて、ステータスステータス
ステータス
奴隷 種族 人間
LV1 5歳 長命種 男
HP 15 MP200
攻撃力 10 防御力 23 知力68 素早さ 102 魔法攻撃力 300
スキル・技
なし
ああ。まだ5歳だったよ。可哀そうに。とりあえず、両手を伸ばす
「ひっ」
優しく抱き上げる。怖くない。怖くない。もう危険は去ったよ。貴方を傷つけるものは誰もいないよ
「っ・・・。」
少し抵抗する素振りをみせたが、大人しくなった
「な、なりません・・・!!魔王様!!」
「問題ない。それより風呂を湯を沸かせ。そしてこの子供に合う服を持ってこい。二度は言わぬ」
二度は言わぬだってー!!きゃーかっこいー・・・。くすん
「は、はい!!」
メイドさんにいってあげた。美人だったからやさしくね どやあ どこにどやるんだろ
「風呂はどこだ」
「はっ、ご案内いたします!」
お、男の子だけどちっちゃいしいいよ・・・。5歳だしいよ…。親戚の男の子もお風呂入れたし。もんだいないよ・・・。
抱きかかえたまま、風呂場へ連れて行った
その後メイドさんにお風呂に入れてもらって{ちなみに私はいれなかった。やっぱせくはらっぽいわー}話すことにした
さて、何から話そうかな
「そなたの名前はなんだ?」
「あ・・・りま・・せん」
うん。何が何だかわかってないようだね。そりゃそうだ。絶対怖いはず。酷いことされる予定だと思ってただろうに助けられたんだもんね。しょうがない
…でも名前がないのかー。まあ、奴隷としか書かれてなかったもんね。それは呼びにくいな。そうだ!!私がつけてやろう!!
うふふ・・・!いいねえ・・・。ファンタジーの醍醐味だねえ
「なら余がつけてやろう」
「・・・え?」
「名がないと呼びにくいだろう。」
「は、はい・・・。」
ああ、余っていいかた恥ずかしい・・・。てゆーか・・・。
超可愛い!!!!!!!
「で、でも、ぼくみたいなのになづけていいんですか?」
「何か問題があるのか?」
あ、やべ、聞くべきじゃなかったかも。でも、彼は話してくれた。
「はい。ぼくはにんげんはじめてのなにかなんです。よくわかりませんけど。それで、おかあさんにもすてられてむらのひとたちにもきらわれていたんです。おまけに、このみためなので、・・・。きもちわ・・・るいって。なぐられたり、あついてつ・・・をおしつけられ・・・たりしました。だから・・・。ぼくなんか・・・ころしてしまってもいい・・・です・・・。」
「そんなことする筈がないっ!!」
私が怒鳴ると、びっくりしたように眼を見開いた。話しているうちに泣いていたのか、目がさらに赤くなっている。
なんてやつらだ。こんな子供に・・・。駄目だ、この世界は腐っている。なんてことだろう。今すぐその村を滅ぼしたい気分だ。しかし、許せないのはこの子だ
「何故その様なことを言う!!貴方は・・・!貴方はどうしてそんなことを言う!殺してもいい?ふざけるな!!なんで自分をもっと大切にしない!!死にたくない、死にたくないと言って死んでいくやつがどれ程いると思っているのだ!」
「す、すみませ・・・」
「お前の罪は一つだけだ。自分を大切にしないことだ。お前は、ろくでなしだ」
「・・・はい」
可哀そうに、震えている。だが、今度は私のせいだ。しかし戻ったら、自業自得だ。
「悪いな。少し・・・興奮していた。だが、よく聴け。私・・・。余はそなたを殺してやらない。いくら殺せと喚いても殺さない。お前は余の側近になれ。それが罪を償う方法だ」
「・・・え?」
うん。とまどっている。当たり前だよね。でも、私はあなたを殺さない。
「奴隷という立場も没収する。代わりに、余の部下という立場を将来的に与える」
「・・・でも」
「異論は認めぬ。返事ははいだ」
「・・・はい。しかし、きかせてください」
なんだろ?まあ、返事もしたし聞いてあげよう
「なんでぼくなんかをたすけようとおもったんですか?」
そんなことか、簡単だ。答えは
「いきなり魔王のところに連れてこられて、おまけにいらないと言われたら食べられてしまう。なんて、酷いだろ?それに、余は人を食わぬ。」
そして、一番の理由は・・・。もう、これしかない!!
「あとは、ただのきまぐれだ」
きまったぁぁぁ!!!!かっこいいでしょ?ねえねえ、かっこいいでしょ?
「う・・・ぐすっ・・・。」
え、どうしたの?なんで泣いてるの?
「ど、どうした」
「い、いままで、うまれてはじめてやさしくされたから・・・。うれしくって・・・。うれしくって・・・!」
そこまで言うと、声をあげて泣き出した。今までがまんしてたのかな?でも・・・そんなに酷い扱いだったのか・・・。
直すところがこの世界にはたくさんありそうだなあ
「落ち着いたか」
「はい。すみません」
うん。よかったよかった。落ち着いたみたいだねえ
「では、名をつけてやろう」
「は、はい!」
うわ、かっわい。萌えの結晶なんですねお。分かります。まじかわいいわ。うん。さて、名前を付けなければ。うーん。でも、何て名前にしよう・・・。そうだ!!
「ディーア。そなたはディーアだ」
「・・・はい、まおうさま・・・。ぼくはずっとあなたのめいれいにさからいません。」
ふわり、と安心した顔で言った。ああ。萌える
「わかった。そなたはもう奴隷ではない。余の側近だ。しかし、力をつけてからこい。部下を師匠に任命する」
「はい!!」
こうして、ディーアとの初コンタクトは、なかなか良い結果になった
ちゃんちゃん