第三:我は弱なり。 我は強なり part5
「くそっ!」
寸でのところで何とか避けたが、斐川の脚が地面に当たったと同時に床が爆発したのかのようにが飛び散る。 木材でラミネートされていたコンクリの破片が葉月の体を殴った。
葉月の全身に激痛が走り、脚の力が一瞬抜けて、バランスが崩れたが、なんとか倒れずにはいられた。
(やりたくないけど……一発逆転を狙うしかない……!)
見えない、そして追えない標的には数で対応するしかない。 正直一か八かの賭けだが、やるしかない!
葉月は口を子守唄を歌うような滑らかなリズムで動かす。
「大地よ起きろ。 姿は槍。 数は二十一。 我が示す場を穿て」
葉月の詠唱が終わるのとほぼ同時にコンクリで構成された幾つもの巨大な槍がものすごい勢いで闘技場の床から生え出した。
「っはぁ! さすが天才だなぁ!! そうだよ、そうしてくれなきゃねぇ!! やっとおもしろくなってきたよ!!!」
葉月はまさに驚くべき光景といえるものを見た。 斐川が地面から次々と飛び出す槍をいとも簡単に避けていく。
客観的に言えば、踊りのようだった。 コンクリ製の槍が飛び出すときは、斐川はもうそこにはいない。 槍が彼に躍らされているようにも見える。 ついに槍の本数は葉月の示した数に到達し、もう地面から槍が出ることはなくなった。 結果的に、斐川は葉月の期待を裏切ったのだ。
顔を歪めたまま狂ったように笑う少年を葉月は奥歯を噛み締め、眉間に皺を寄せてそいつを見る。 正直、今ので終わらせるつもりだった。 今の魔法が全力だったのだ。
普通ならLEVEL5でも辛い魔法を全力で制御して発動させたのだ。 正直LEVEL1の魔法でも、もう1,2回位しか撃てないだろう。 しかもマズイことに、頭の中が妙な違和感が溢れ、体がふらついてきた。 ダメージじゃない。 熱の病状が悪化したのだ。 よりによってこんな時に!
そんな葉月を無視するように、少年は笑いながら言う。
「終わりかい? あっけないなぁ天才クン!!」
彼はそれだけ言うと、再び真上へと姿を移す。 さっきと同じ様に右足を思いっきり振り上げた状態で。 そして放たれる極刑の鎌とも言える踵落し。
先ほどは何とか避けられたが、この状態で避けられるわけがない!
(やられる……………)
そう思った。 正直、本当にそう思った。 この少年にやられる。 この脚が自分に直撃して、自分は負ける。
この一撃が当たったとしても、闘技場内では特別な魔法の効力があるため、死ぬことはない。 せいぜい骨折がある程度だ。 でもそんなの関係ない。 こいつに負けるのは嫌だ。 嫌だというよりも、ダメだ!
こいつは今ここで自分に勝ったら、今の自分の考えを改めずその考えを貫き通すだろう。 それはダメだ。 目の前のものを叩き潰して上へ行くなんて、間違っている。 自分はコイツの考えを改めさせなければならない。 コイツの考えを止めなければならない。 だから、
(今はだけはダメだ! こいつの考えをすべて変える!)
葉月は自分の中で何かが弾けたのを感じた。 そして同時に振り下ろされる。 死神の鎌が。
「終わりだぁ!!」
才能vs努力の戦いは最終局面へ!やっとか………。長かった………。 今度はもう少しカットしようかな?
めんどくさいわけじゃないけど、進まないし………。でも、バトルの描写はもっと上手く書けるようになりたいし……。
どうしましょうかね?(聞くな)
さて、いつもよりちょっと早いけど、今回はこの辺で。
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