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第三:我は弱なり。 我は強なり part4


 弱く小さかったはずの言葉に突如、斐川は面食らったような表情を見せて掴んでいた葉月の胸倉を放した。 葉月は立っているのも限界だったのでその場に倒れる様に座り込むが、続ける。


「お前は才能のある奴が嫌いなんじゃない。 羨ましいだけなんじゃないのか? 自分が努力して進んで、苦しんでも追いかけて、それでも追いつけない。 そんな奴らが『羨ましかった』んじゃないのか?」

「な…………?」


 理解できないとでも言いたいのだろうか。 彼の表情が葉月にそう語っている。

 そうだ、理解できなくても良い。 伝われば、せめて自分の思い伝われば、彼がいつかその意味を理解してくれるだろうから。


「どうなんだよ。 ……間違ってはいないと思うんだけど?」

「…………せぇよ……」


 斐川が俯いて呟いた。 何を言ったのか全く聞えなかった葉月は首をかしげた。

 しかし直後、斐川が顔を上げ、ただでさえ大きな瞳をさらに大きくして、葉月を睨んだ。 そして


「うるせぇよ!!」


 吼える。


「そんなの昔から解ってたよ!!」


 叫ぶ。


「そうだよ、嫌いなんかじゃない。 ただそういう風になりたかったっていう願望だよ!」


 嘆く。


「何で俺はああいう風になれなかったんだって言う嫉妬だよ! 悪いかよ!!」


 喚く。

 少年の言ったそれらの言葉は、葉月にとって、ただのやつ当たりでしかない。 だけど仕方の無いことだった。

 単に、運良く才能を手に入れた物が、運悪く才能を手に入れられなかった者から怨まれるなど、苦やしがられるなど、妬まれるなど、当然なのだ。

 葉月はそれを解っている。 才能を持った者が持つ代償の重さ知っている。 だけど、彼のしていることは矛盾している。 だから、葉月は言う。


「悪いに決まってるだろ! 願望? 嫉妬? そんなの大いに結構だ! だけどお前はさっき、僕を叩きのめすって言った。 それって才能ある奴の才能を潰すってことじゃないのか?」

「なんだと……?」

「お前は自分に才能が無いから才能のある僕を叩きのめすらしいが……お前のやっていることは、自分と同じような人間を作ることなんだぞ!」

「……黙れよ…………」


 黙らない。 黙っていたら、お前は考えを改めないだろう? そして篠原葉月は、そんなことを見過ごすような人間ではない。


「そんなの意味ないだろ! おまえが本当にしなきゃいけないのは、そういう自分より才能があるやつと一緒に上を目指すことなんだよ! なのにお前がやっていることの結末は、誰かに自分と同じような思いをさせる事だけなんだ!」

「黙れええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」


 もう自分でもどうしようもない感情を吐き出すような絶叫と共に、少年は歌いだした。


「わが脚よ駆けろ。 速度は旋風(せんぷう)。 我に刃向かうものを圧倒せよ」


 それは一見、子守唄に聞える程、優しく耳に響く。 しかし、葉月にはそれが猛者達が歌う、まさに猛々しい軍歌に聞えた。

 その歌に反応して彼な体内魔力が動き出す! 彼の脚の構造が変わっていくのが感覚的に見える。 間違いない。 『強化魔術』だ!


「ふっ!」


 突如、斐川の姿が消えた。 そう思ったら彼は自分の右側前方にいた。 しかし、それを確認した瞬間に彼は思いっきり脚を振り上げた姿で真上へと姿を移す。 まるで、瞬間移動(テレポート)。 そういうのが相応しいこの速さ。 人間では捕らえられない!

 葉月はそんな気持ちと共に思う。


(これが……こいつの努力の結晶なのか…………)


 斐川が空中から葉月の脳天目掛けて脚を振り下ろす。 強化魔法を受けたその脚から放たれるそれは、極刑の鎌よりも鋭くて強い!

 その鎌が、罪人を罰す処刑人のごとく振り下ろされた。


どうも!ガンダム大好きっ子の望(「のぞみ」です)君です(あれ?前言ったっけ?)!

さてさて、バトルはそろそろ後半戦に突入! 何か三話の長さが半端ないのですが、ざっと見、第一話の約2.5倍位あります(バカじゃねぇのお前?)。こんなことがありまくりなので、この先ごと不安ですが、どうぞこれからもヨロシクです!

さて、今回はこの辺で。 アドバイス、ご感想などをお待ちしております!



現在、ボイスブログをやっております。

URLは貼っておきますので、お暇があれば、遊びに来てください→http://www.voiceblog.jp/night-lock/



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