第六:無敵VS無双 Part5
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」
シュズァ!! と言う音を響かせ、二人の刃と体と翼が交差する。 雪奈と吉良は魔力の壁にぶつかる直前で身を翻した。
お互いずいぶんと息が荒い。 一体どのくらいの時間が過ぎたのだろうか。 実際時間はそれほど経っていないのだが、自身にそう感じさせるほど、二人の戦闘はすさまじいものだった。
「くっ……!」
微かな痺れを感じる左腕を覆う氷の爪を見て、雪奈は舌打ちをした。 彼の氷の爪が欠けてきているのだ。 当然、原因は吉良の螺旋の刃との度重なる激突によるものだった。
そんなもの当たり前、といえばそうなのだが、重要なのはそこではない。 重要なのは、『雪奈が持つ氷の爪のみが刃毀れしてきている』ということなのだ。
吉良の風の螺旋の刃。 そう、物質である氷の刃と物質でない風の刃とでは、切れるのは当然、前者のみだ。 ウォーターカッターで包丁が真っ二つになるのと同じようなものだ。
吉良は「相性が悪いわけではない」とは言ったが、それはあくまで、ただ発動ち合うだけの魔術戦の事だけでのこと。 こういう、互いの得意な魔法で作った武器で戦う白兵戦では、意味が異なる。
(やり方を変えるか……)
雪奈は右手の指を鳴らし、氷の爪を、双振りの日本刀へと変える。 当たり前の如く素材は氷だが、魔力を練った氷の強度は、鉄に近い。 切れ味は本物には及ばないものの、決して鈍物ではない。
それ程のものを見ても、吉良は笑った。
「そんなものが何になる!」
「今よりにはましになるだろう」
互いが再び翼を羽ばたかせ、刃を交わせる。 ガキィ! という本来ならありえない音が鳴り響いた。
再び始まる何度も幾重にもぶつかり合う刃と刃。 片方が刃を振るえば服を切り裂き、もう片方が刃を振るえば髪を切り飛ばす。
「………………」
雪奈は一瞬だけわずかな距離を置き、すぐさま距離をつめると同時に右の刀を振るう。 それに合わせるように、吉良も螺旋の刃を振るった。 ガキン! という音がして、刀の刀身が半ばから折れる。
「ふっ……!」
「はぁっ!」
次に左の刀を振り下ろしたとき、吉良は払う動作と共に螺旋の刃でそれをまた破壊する。 しかし、それが狙い目。 氷の刀を破壊した吉良のボディはがら空き。 雪奈はそこを狙って蹴りを放つ。
「ごっ……!?」
まともにくらい、吉良の体が面白いくらいに後ろへ飛んだ。 そこへ、雪奈は指を鳴らし、容赦なく無数の氷弾を放つ。 それに対し、吉良は螺旋の刃を肥大化させ、氷の弾丸をすべて弾き、そのまま螺旋の刃を竜巻へと変換させると、それを水平に放った。
「っ!?」
範囲が大きすぎる。 避けきれないと判断した雪奈は、指を鳴らして翼を肥大化させ、自分を繭のように覆わせる。 それとほぼ同意に竜巻が雪奈を飲み込んだ。
無数の刃によって氷が削れていく音が雪奈の鼓膜を叩きまくる。 ある意味それは、警報ともいえた。
「ぐ……おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
雪奈は翼の長さ、質量を変えると、それを思いっきり広げ、竜巻を打ち払う。 視界が変わり、彼の目に最初に映ったのは、
「やるじゃねぇか」
「っ!? 吉良…………っ」
見下した笑みを浮かべた、白と黒の二対の翼を持つ少年と、その少年を護る、または仕えるようにして存在する四本の光る竜巻だった。
真空電子。 それがアレの正体。 しかしそんな情報、今の雪奈にとっては何の役にも立たない。 なぜなら、今の彼には、あの竜巻を打開策がないのだ。
雪奈の魔術は、大気中の水分を氷結させて発動させるため、汎用性こそは高いものの、実は威力そのものはそこまでではない。 たとえ、巨大な氷壁を作り出しても、あれを防ぎきれる自信はない。
(…………)
それでも、雪奈は指を鳴らし、巨大な氷壁を作った。 まるで彼と吉良の境界線のように床から天井にかけて、張り巡らされた壁は、しかし、まるでクッキーか何かのように一瞬で破壊され、四つの光る竜巻は雪奈を飲み込もうと襲いかかってくる。
そして……………………。
初めまして。お久しぶりです。こんにちわ。略して『はじおひこん』!(なんじゃそりゃw)
今回は短めでゴメンなさい。ぜんぜん展開が進まないので急遽こういう形になってしまいましたw
さて、雪奈はどうなったのでしょうか?次回が気になる展開になり、ここで今回は終わります。
しっかし、この後の展開(メモ帳の話です)……いったい誰が主人公なんだ(葉月です!/目立たない主人公でゴメン!)?
他校編もちょっとですが、少しずつ書いているところです。お楽しみに。
あ、この後の展開は、ボクのもう一つの作品、『哀をください』に関連することでもあるので、お暇があれば、ぜひ読んでみてください(せ、宣伝じゃないんだからね!)w
では今回はこの辺で、皆様の感想、評価、質問、アドバイスなどをお待ちしております!
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