第三:我は弱なり。 我は強なり part7
葉月の言った通り、この試合は天才の初試合ということもあって、教師生徒関係なくかなりのギャラリーが集まっていた。
そして、試合の終了と同時に観客の歓声が鬱陶しく感じるくらいどっとあがり、すさまじい盛り上がりを見せていた。 学年全体がこの試合に影響されたのだ。
それは戸塚雪奈たち生徒委員会も例外ではなかった。 しかし、生徒委員会の中でこの試合を見に来たのは二人だけ。
仕事を下級生に押し付けてこっそりと見に来たのだ。 普通に生徒会委員失格といわれるくらいの行動だ。 まぁ、とりあえず後で始末書を書いておう。
「どうだった雪奈?」
雪奈は隣の眼鏡をかけた黒髪の少年から呼ばれると、膝辺りまでまっすぐに伸びた雪のように白い髪を一度だけ鬱陶しそうに払って、自分の事を呼んだ少年のことを見ずに、下の決闘場とも言える場をじっと見据える。
「どうもこうも、『酷い』ものでしたね。 八百長並みでしょ」
「やっぱりそう思うかい?」
「同学年でどちらかが『覚醒種』だったら、もう決まったような物じゃないですか」
「でもまぁ、おそらくどちらとも知らなかったんだと思うよ。 『覚醒種のこと自体』」
そりゃそうだと雪奈は思う。 覚醒種なんて希少種、生徒の中でも知っているのは生徒委員会と風紀委員会、それとごく小数の生徒しか知らない。
雪奈だって知ったのは一年前だ。 あんな一年生達が知るわけない。
「『生徒会長』はどう思います?」
そう雪奈に呼ばれた眼鏡の少年は、クスッと少し笑ってから口をあけた。
「面白かったよ、二人とも。 すっごく頑張ってた」
クスクスと指を唇に当てて笑いながら言う。
なんだそれは。 勝負なんだから頑張るのは当たり前だろうに。 雪奈がそう思っていたら、生徒会長はちょっと不気味なクスクス笑いをやめて、でもやっぱり微笑みながら
「雪奈、一つお願いして言いかい?」
「? なんですか?」
とりあえずいい予感はしない。 警戒心を持ちながらそれを聞くことにした。
「付き合ってほしいんだ」
「そういう趣味はありませんよ」
「いやいや。 それはちょっと残念だけど、そうじゃない」
残念という部分に何となく寒気を感じたが、まぁとりあえず流そう。 元々この人はこういう人だ。 そして生徒会長は続ける。
「ちょっと行きたいところがあるんだよ。 一緒に来てくれるかな?」
「別に良いですけど……アンタまさか…………」
「あはは。 雪奈は気付くの早いね〜♪ でも、口に出すなよ? 当たっているかどうかの答え合わせはこれからだ」
それだけ言うと生徒会長は闘技場から出ようと足を動かせる。 その一歩後ろの位置を保とうと、雪奈も歩き出す。
今更どうでも言いことだが、生徒会長は最初から最後まで随分と楽しそうな顔をしていた。 おそらく、あの一年生にたいして。 そんなにあの新入生が気に入ったのか? あんな『小さな才能しか持たない』新入生が。
気に入らない。 生徒会長はこの際どうでも良いが、才能のある奴というのはどうも気にくわない。
(いつか、遊んでやるか……)
そう企んで、少し不適に笑ってみる。
笑った人物の名は戸塚雪奈。 それは、『FREEZER(凍て付かせる者)』という魔法名を持ち、高校一年にして、生徒会副会長。
そして、歴代の如月学園の生徒の中で最高のイレギュラーの『LEVEL7』である男の名だ。
名前:戸塚雪奈
年齢:15(12月15日生まれ)
性別:男
学年:高等部第一学年
身長:170.3cm
体重:62.9kg
性格:個人主義でミステリアス。 葉月以上に素っ気無く、口調もひどく坦々としている。
特徴:真っ白の長髪に蒼い瞳。血の気を感じさせない白い肌。 何故か少し悲しげに見える中性的な整った顔立ち。
灰色のタンクトップの上にフードつきの白パーカーとダボダボなヴィンテージのジーンズ。
LEVELが高いので詠唱を必要としないが、タイミングを調整するために魔法を発動する直前に、指を鳴らす(指パッチン)。
魔法名:FREEZER(凍て付かせる者)
備考:体温が以上に低い(平均体温34.8度)。読書が趣味でよく一人で読んでいる。
生徒委員会の副会長であり、如月学園史上最高の強さを誇る。様々な生徒から挑戦を申し込まれるが、大抵無傷で圧勝する。
如月学園内の最強の魔法使い登場! たしかこんな展開が電撃文庫の作品であった気g(言うな)。前回も言った通り、バトルは終わり、同時に次の投稿で第三話は終了です。 長かった………。ちなみに今回出てきた雪奈君は僕の書いたもう一つの作品の主人公です。 そのお話がこの作品内の中で影響するかは今のところ未定です。 まぁ、多分します。
さてさて、今回はこの辺で。感想、評価、アドバイスなどをお待ちしております!
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