謎は解明されぬまま
ホームズだったらこの謎が解けるのか。
……なんて、よく知りもしないくせに思ってみる。
「おはよう、ひよちゃん」
「ひ……っ!?」
夢だと思っていた昨日の出来事は、夢じゃなかった。
しかも、何故か『春日井さん』から『ひよちゃん』に呼び名が変わっている。
そういう意図があるのかどうか知らないけど。
……私、今度はひよこ扱い?
「今日も可愛いね、おさげ」
くいくい、と三つ編みにした髪を引っ張られる。
不器用な私には、これでもかなり時間がかけているのに。
「ちょ、引っ張らないでください!」
「だって可愛いんだもん。ひよちゃんが悪い」
……誰か、この人を解明してくれないだろうか。
こんな人なら噂になっていてもおかしくない。
昨日はあまり気にしなかったけれど、すごく整った顔立ちをしている。
クラスの女の子がよく話題に出している人がいるけれど、もしかしてこの人?
「って、あなた誰なんですか」
「え、今更? 昨日聞かれなかったから、知ってるのかと思ったんだけど」
心底驚いた、とでも言うように目を丸くする。
ちょっとだけ悲しそうにも見えたから、よく聞く名前を挙げると、もっと悲しそうな表情になった。
「……それ、俺の友達」
「す……すみません……」
結局、彼は名乗らないまま私と別れた。
……誰か、この謎を解いてくれないだろうか。