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あの人と私は違うのだから

 鼻の奥がツン、とした。

 信じられないと思った。

 彼がそのことでどんなに苦しんだのか、わかるようでわからない。

 彼の気持ちなんて、彼にしかわからない。

 だから、私の気持ちもわかってもらえないのかもしれないけれど。


「ふっざけないでよ……っ」

「え」


 予想外の言葉だったのか、彼と担任は唖然とする。

 まぁ、普通を考えればそうなのかもしれない。

 でも、全てが普通に過ぎていく保障なんてゼロに等しい。

 いつだって私は私で、普通以外の選択をすることだってある。


「勝手に期待して、勝手に絶望して意味わかんない。私を何だと思ってるの?」


 彼らは何も言わなかった。

 きっと言葉にできないほど、私を見くびっていたのだろう。

 何も言わないから、そう解釈するしかない。

 少なくとも、私には。


「私のこと、バカにしないでよ」


 そりゃ、怖くもなる。

 彼のことを傷つけてしまわないか。

 思い出したくもないことを思い出させてしまわないか。

 近づけば近づくほど、怖くなる。

 でも、それは誰だって同じ。

 彼のような過去を持っていても持っていなくても、怖くなるのは誰だって一緒。

 だから、私はこの選択肢を選ぶ。


「許さないから……っ!」


 再び飛び込む、彼の腕の中。

 今度は私の意思で、彼を捕まえに行く。

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