強がりな君と弱く見える私
悲劇のヒロインを気取りたくもなる。
彼が悲劇のヒーローぶっているから、特にそう思う。
「ふざけないで! 泣きたいのはこっちなんだから……っ」
目に溜まった涙が視界を歪める。
彼の目が大きく見開かれるのが、辛うじてわかった。
「私の中にずかずか入ってきたくせに……どうして、こんなことされなきゃいけないの?」
「うん……ごめんね、ひよちゃん」
「突き放すんだったら、最初から関わらないで!」
「……そうだね」
俯く彼にイライラが募っていく。
何も弁明してくれない彼に、悔しさを感じる。
甘えてきたのはそっちなのに。
何も話してくれないなんて、卑怯にも程がある。
「どうして、突き放したの?」
「それは……言えない。これ以上、ひよちゃんに嫌われたくない、から」
「話してくれなきゃ、もっと嫌いになるから!」
こんなことを言う私も、ものすごく卑怯だと思う。
でも、やっぱり知りたいのだ。
拒絶されなきゃならなかった理由を、再びここに戻された理由を。
だから、どんなに卑怯だと思っても私のための言葉を吐く。
「瑞季先輩!」
「うん……でも」
「……っ、バカっ」
それでも、彼は話してくれなかった。
嫌われたくないと言うくせに、何も話そうとしてくれなかった。
私はそんなに弱く見えるのだろうか。
そんなに……彼の目には頼りなく映るのだろうか。




