拒絶の裏にあるものは
見上げた視界に映ったのは、ここにいるはずのない人だった。
「せ、んせい?」
「香椎っ! ……春日井、お前こいつに何を」
ドアには鍵がかかっていなかったらしい。
もたれかかっていた彼も振動を感じ、そこから離れて倒れることは免れたようだ。
担任はすぐにしゃがみこみ、彼の体を支えながら立たせる。
私はそれを見ていることしかできなかった。
「春日井、もう今日は帰れ。……もうこいつに近づかないように」
「え……?」
「お前なら大丈夫だと思っていたんだけどな。期待し過ぎたようだ」
そう言い残し、彼とともに隣を通りすぎていく。
彼の方を見たけれど、俯いていて目が合うことはなかった。
何が起きたのかわからない。
全く頭がついていかない。
帰れと言われたものの、私は暫くそこから動けなかった。
突かれた肩が痛い。
あれは、確かに拒絶だった。
どうして、拒絶されたの?
どうして、先生が?
わからない。
私は本当に何も知らないんだ。
そのことを強く知らされ、言葉にできないほど悔しかった。
知ろうとしなかったのは、私だ。
流されるように彼と関わり、何も考えようとしなかった。
だから。
「帰らなきゃ……っ」
重たいドアを開けた瞬間、涙が頬に伝わった。




