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日記  作者: すずぱじゃま
4/8

4月2日 告白前編

タイトルの通り告白までのいきさつです。

4月2日


チチチチチ、と小鳥がさえずる声が聞こえてくる。


もう朝か...。


椅子に張り付いていた腰を浮かせて、頭を掻きながら伸びをする。

床には昨日急いで買ってきた便箋がくしゃくしゃに丸められ、ゴミ箱の周りに小さな山を作っていた。

俺は、昨日の晩の事を後悔していたんだ。なぜ泣かれたのかはわからない...一晩考えて見たがやっぱりわからなかった。でも泣かしたという事実が俺の後悔の念を駆り立てた。

公開している理由にはもう一つあったんだ。それは俺が大好きな君を試したことだった。

あとから思えば思うほど昔の自分が嫌になった。

でも、何もなかったわけじゃない。もう...回り道なんかやめよう...俺はそう決心した。

昨日のことがあって今日告白するというのはおかしいかもしれない。

だけどどうしても思いを伝えたかったんだ。君のことが好きだって、誰とも付き合ってないって、伝えたかった。

君の家を飛び出した俺は文房具屋へ走って急いで便箋を買ったんだ。

今日これを君に渡すために。


俺はラブレターを持っていつもより少し早めに家を出た。



学校について、誰も周りにいないことを確認して君の下駄箱を開けた。

心臓がやけに五月蠅い...顔も火を吹くほど暑くなってきた。


何でこんな恥ずかしいんだ...別にあいつに手渡しするわけじゃないんだぞ...。


なぜか既にあった君の靴を確認して、朝に見られることはない...と、少し安心する。

間違えて誰かが開けてもわからないように靴箱の奥のほうに手紙を置いて急いで閉めた。

誰にも見られてなかったことを確認して俺は大きく息を吐いた。

火照る顔を手で仰ぎながら、ゆっくりと廊下を歩く。

なんで君はそんなに早く学校に来てたんだ...色々考えてみたけど結局ろくな答えが出なかった。

小さくため息をついて自分の教室の扉を開いた。

「おはよ、何でこんな今日早いの?」

「おう!?」

入ったと同時に教室に一人でいた千春に声をかけられた。

他の誰かがこんな早くに来ていないくらい少し考えがればわかることだった。

「まぁいいや、えっと...昨日はごめん...殴って」

窓際の席の千春は立つとこっちに近寄ってくる。

「いいよべつに...気にしてないから」

むしろ俺がもう一回謝りたいくらいだ...。

申し訳なくなって、少しだけ気まずくなって俺は、急いで自分の席にカバンをおいてその場から逃げるように教室を出た。


何やってんだ俺は...。


君の顔が見れなかった。ラブレターを入れたせいか、昨日のことで申し訳なく思っているせいか、よくわからなかったけど...俺にはあの場所に二人で居続ける勇気は無かったんだ。

トイレの個室に入った俺は大きくため息をついて便器にもたれた。

急いで立ち去る俺をみて君はどう思ったんあろうか...ホームルームは始まるまで俺はずっとそんなことを考えていた。



放課後、俺は屋上へとつながる階段をゆっくり登っていた。

元々、俺の高校の屋上は危険だからという理由で解放されていなかったのだが、俺が高1の時にちょっとした抗議が生徒から教師に起きたらしい。

とゆうのも、生徒会が俺たちに求めたのは署名だけで抗議の実態自体がいつ起きたのか俺たち一般生徒は知らないんだ。

そのおかげもあってか、フェンスなどの改装工事をすることを条件に昼休みと放課後だけ解放されるようになったのだ。

正直いうと、昼休みは女子の溜まり場、放課後は告白スポット、授業中はヤンキーの溜まり場になっている屋上である。

つまり、恋愛沙汰が皆無な男子勢にとってはあってもなくても同じと言えたのだ。

だが、今日の俺はその男子勢の枠から外れることになる。

そう思うと少しだけ顔が熱くなった。案外俺は赤面症なのかもしれない。

男子の赤面症って女子から見たらどうなんだ...なんてしょうもないことを考えながら俺は屋上の扉を開けた。

扉を開けた時にすり抜けた風と一緒に桜の花びらが飛んでくる。

幸いにも屋上には誰もいなかったようだ。

腕時計で時間を確かめると、15時55分だった...千春をここに呼び出したのは掃除だった場合などを考えて、俺たちの今日最後の授業は3時45分に終わるので余裕を持って4時半に呼び出しておいた。

部活の声が小さく屋上まで響いてきていた。

ベンチに座った俺は高鳴る鼓動を抑えながらゆっくりと君を待った。



本日何度目になるかわからない時計を見た。

針は真上と真下で一本の線になっている...6時...つまりはそうゆうことだろう。

これが君の答えということだったんだろう。

天を仰いで小さく乾いた笑を漏らした。

こんなところにいつまでいても仕方ない...帰ろう。

そう思い立ち上がってゆっくりと扉へと近づく...と、誰かが階段を走って上ってくる音が近づいてきたんだ。

あまりの勢いにとっさに一歩引くと、鼻先をかするようにして屋上も扉が勢い良く開いた。


「しゅんっ!!これどうゆうことっ」


待ちに待った君が俺の書いた手紙を突き出してそこに立っていた。

俺くんの名前はしゅんくんとだけ決まりました。

次は千春ちゃん回です。

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