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第十五話 アメリカンガールズ

大変長らくお待たせしました。

どうぞお楽しみ下さいませ。

一方、神谷達第一攻略艦隊が向かっている沖縄基地では、アメリカ海軍の艦船アメリカ級強襲揚陸艦『アメリカ』、『トリポリ』そして、アメリカ海軍第七艦隊が定着していた。

そんなアメリカ軍が集まりつつある沖縄のとある軍港に、その艦はあった。その艦の名は『ジョージ・ワシントン』。空母であり、アメリカ海軍第七艦隊の旗艦である。その立派な飛行甲板に、ため息を吐きながら金色のポーニーテールをなびかせている少女がいた。彼女は『ジョージ・ワシントン』の艦魂である。彼女はそこで、一度ならず二度目のため息を零した。


「戦争なんてまた面倒な事を始めたもんよねぇ~。私たちに敵う筈が無いのに。」


今や世界の頂点に君臨する国アメリカ。そのアメリカとの友好関係が最も親しく、同盟国でもある日本に戦争を仕掛けることは、アメリカと戦争する事と同じような事。それが分かっているはずなのに尚、戦争をしようとする人間が彼女には全く持って理解する事が出来なかった。

「仕方が無いよワシントン。こうなったら痛い目に遭わせて分からせるしか」

アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦4番艦、『カーティス・ウィルバー』の艦魂がワシントンに呼応した。彼女、『カーティス・ウィルバー』は下ろした金髪に、赤と青のオッドアイという容姿をしていた。

「ウィル。こう見えても私、戦争したくないのよ?」

ウィルとは、『カーティス・ウィルバー』が皆から呼ばれているニックネームである。因みに、ウィル本人はこの呼び名を気に入っているらしい。

「えー!そうなの!?てっきりワシントンは血の気が多い方だと思ってた!」

ウィルが目を丸くしながら驚いた素振りをする。

「ちょ、ちょっとウィル!貴方今までそんな風に私を見てたの!?」

「えー?だって、ワシントンのようなキャラって大抵は表は綺麗で、裏は汚いんじゃないの?所謂(いわゆる)……腹黒い?」

「な、なんなの!?そのキャラ設定は!全国の私似の方たちに謝りなさい!そして、私は腹黒くないわよ!」

ワシントンは、「全く、心外だわ。」と吐きながらほっぺを膨らませて怒る……が、それは敢えてウィルを喜ばせるだけであった。

「あらあら、二人とも昼間から元気ねぇ~」

ギャーギャーと騒ぐ二人に対して、のんびりとした口調で話し掛けたのは、米海軍の中でも最新鋭艦であるジェラルド・R・フォード級一番艦『ジェラルド・R・フォード』であった。

彼女『ジェラルド・R・フォード』は2016年に就役し、最新装備の電磁カタパルトを持って、新たな戦力として米海軍に歓迎された。

「ジェル!聞いてよ!ウィルが私の事腹黒いって!」

ジェル。それが彼女『ジェラルド・R・フォード』のニックネームだ。

「あら~?それって本当のことじゃないのぉ?」

「ジェルまでそんな事言うの!?」

ウィルだけでもなく、ジェルにまでも腹黒と言われてしまったワシントン。その彼女は、目に涙を浮かべて、半泣きの状態だった。

「あ、あわわ。ワシントン!?ごめんね!ちょっとふざけ過ぎちゃって…」

ウィルはワシントンが泣く事が無いだろうと思っていた為だろうか、予想外の事態に動揺しているようだった。

「ウィルちゃんごめんねぇ~そこまでやる気は無かったのよ」

ジェルも同様、ウィル程までとはいかないが、少し動揺しているようだった。

ウィルとジェルが、二人で慌てふためきながらワシントンをあやしていた所に、一つの声が響いた。

「またお前たちは一体何をしているんだ?」

「あ、ウィリアム!丁度いい所に来たね!」

ウィリアム。そう呼ばれたのは、『ジョージ・ワシントン』のカタパルトオフィサーを務めている男である。彼もまた、神谷と同じように艦魂を見ることの出来る人間だった。

「何か盛り上がっている感じだったんだが…っておい!ワシントンどうした!?」

一体何をしていたのかを聞こうとしていたウィリアムが、その途中でワシントンの様子が少しおかしい事に気が付いた。

「い、いやぁ……私たちがちょっとふざけ過ぎちゃって」

「ア、アハハ。」と申し訳なさそうに笑いながらウィルは言う。

「ワシントンを相手にしていると、ついつい苛めたくなっちゃうのよねぇ~」

と、先ほどまでうろたえていたジェルが、調子を取り戻しニコニコと笑いながら言う。

「ジェル……お前、悪魔みたいだな」

ウィリアムが少し引き攣った顔でジェルを見る。同時に、ジェルだけは敵に回してはいけないとも思うのであった。しかし、泣いているワシントンを放っておく訳にもいかないので、ウィルはワシントンに声を掛けた。

「ワシントンも落ち付いて。な?そんなんじゃ日本の艦魂に示しが付かないぞ?」

そう言われて、ハッとするワシントン。どうやら自分が日本に居る事さえ忘れてしまっていたようだ。

(ワシントンは泣き虫だ。)とウィリアムは、心の中で吐いた。これまで何度も、ワシントンが泣いている所に出くわしてきた。その度に、ワシントンをあやしてきた。でもそれは面倒では無い。寧ろ、ワシントンと話せる機会が出来て、嬉しいくらいだった。

「そうよ……そうだわ!」

と言いながら頬をパチンッ!と叩くワシントン。どうやら彼女なりに気合いを入れたらしい。いつの間にやら、彼女の目に溜まっていた涙も消えていた。

「U.S Navyの艦魂にもこうやって馬鹿にされているのにこれ以上は……!」

彼女にも彼女なりのプライドがあるのだろう。ウィリアム達は、苦笑をしながら、彼女を見守っていた。

「おっと……噂をすれば何とやらだね!」

そう言いながらウィルが指さす先には、沖縄基地の港内に向かってくる船団が見えた。それは、「あきつ」と「神州」、その護衛に入った、神谷達のいる第一攻略艦隊だった。ウィリアム達は、未だにメラメラと燃えているワシントンを横目でチラッとみた後、目の前から向かってくる船団を待ち構えた。






─────突如、揚陸艦と思われる艦が大爆発を起こした。










最近、覇龍=破龍の艦の設定に無理があるのでは無いかと思ってしまったあの味。

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