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第九話 尖閣諸島奪還作戦 -前篇-

皆さまどうも、あの味です。

ちゃんと一週間以内に投稿出来ました!よかった、よかった。


筆記中、思っていたよりも長くなってしまったため、前篇、後篇で分けることにしました。といっても、後篇はまだ書き終わっていませんが…


今回は、作者の妄想武器が出てきます。

では、どうぞ!

2020年4月16日


第一攻略艦隊は、現在尖閣諸島に向けて東シナ海を航海中であった。


「西森艦長!政府からの通信です!」

戦闘指揮所にて、通信機能操作担当の兵の一人が声をあげた。


「そうか分かった。こっちに移してくれ」

がちゃ。と音を立てながら、目の前に置かれている電話から受話器を掴み、そのまま言葉を続けた。


「覇龍艦長の西森。ただいま変わりました」


「おお、お疲れ様。こちらは水上だ」


「いえ、総理も内政の方お疲れ様です。それより何か御用があって?」


「ああ、そうだった。今回君達が戦闘の担当となる尖閣諸島だが、過去に石油が取れると判ってから油田プラントが幾つか建てられたのだ」


「それで私達にどうしろと?」

西森は水上は言いたい事は大体予測が出来た。


「その油田プラントを壊さずに作戦を遂行してくれ」

(やはりか…)そう心の中で吐いた後、「了解しました」と水上に告げ通信を切った。


「どうやら政府はわれわれに結構な重労働を行ってほしいようだな」


「大丈夫でしょう。もしもの事があっても、我々がこの覇龍を何としてでも死守しますから」


「ほおぉ…頼りにしているぞ」

そんな会話に戦闘指揮所のメンバーは皆、笑みを零した。


――――――――――


ひゅうがを旗艦とする第一攻略部隊は、沖縄を出て東シナ海を数キロメートル西に行き、尖閣諸島間近まで迫っていた。


「西森艦長、衛星からの通信です。尖閣諸島を警護している中国艦隊の(ふね)が七隻ほど見られます。空母は見当たりません。おそらく、空母無しの艦隊編成だと思われます。彼らは魚釣島の周りに艦艇を集めているようです。他の島には艦が見当たりません」


「陽動作戦か?我々を誘いこんでから潜水艦で叩くつもりか?」


「しかし、尖閣諸島だけにそこまでの兵力を投入して来ますかね?」

実質、日本は此処ぐらいしか石油が取れる場所がないのだが、中国には油田基地が存在する。つまり、尖閣諸島が取り返されても

国としては機能していくことは可能な事なのである。


「さあな、奴らの考えている事は私には分からん。それに、司令官からの連絡が無いという事はこのままの航路で行くのだろう…」

西森はガラスに映し出された海図を黙って見つめていた。



――――――――――



ここは、『覇龍』の操縦室兼応急指揮所、いわゆる『覇龍』の操縦室だ。ここに神谷と水野は居た。神谷と水野の担当場所は此処であり、二人は現在応急監視制御盤の前にいる。そう、神谷たちが担当するのは『覇龍』のダメージコントロールシステムだった。初の戦闘に二人は少し震えていた。

ちなみに、覇月と絶覇は此処にはいない。

彼女達は『覇龍』の55口径の主砲にいる。なぜかというと、艦魂たちは自らが武器を振るって戦う事によって相手に直接的なダメージを与える事は出来ないのだが、艦の兵器の命中率を上げる事ができるのだ。そのため、彼女達は何時でも戦いが行えるよう、戦闘準備をしていた。



「そろそろ敵艦が見えてもいい頃ね…」

そういいながら別空間から取り出した、演習時でも絶破が愛用している九式狙撃銃を構えていた。九式狙撃銃は、アメリカから取り入れたXM2010狙撃銃を日本で独自開発を進めて開発した対人対物用ライフルである。主に、海軍陸戦隊と日本陸軍に支給されている狙撃銃である。

九式の九は日本語に直すと「苦」を表す。敵に苦しみを与えて死に追いやる。という意味を込められた狙撃銃だ。ちなみに、今は.388口径の銃身(バレル)を付けてある。



「出来れば戦いたく無いのですけどね…お話で解決できないのかな?」

「戦争」その二字熟語に怯える覇月。そんな覇月の武装は、腰に日本刀を挿し、姉とは違い回転式拳銃2丁を手に持っていた。


絶破が対艦、覇月は対空という2人が宿っているからこそ成し得る戦術だった。


「何甘えた事言ってるの。ここまで来て話し合いで済む訳がないわ。それに、もしもの時は私が付いてるから安心しなさいそれに……神谷も」

最後の部分だけ覇月はよく聞き取れなかったが、姉が付いていてくれる。そんな言葉が覇月にとっては支えとなった。


「うん!ありがと、お姉ちゃん」

先ほどまでの不安な顔とは違い、覇月は笑顔で頷いた。しかし、その笑顔にも少し無理しているように絶破は感じた。


「無理して笑わなくてもいいのに…」

そう言いながら覇月の頭を撫でる。


「そんな事ないよ……って、子供扱いしないでよ!」

と、頭をひたすら撫でてくる絶破に言いつつも、満更でもない様子の覇月。心成しか、少し嬉しそうにも見える。

なんとも微笑ましい景色であろう。これが姉妹愛というものなのだろうか。


『敵艦レーダーに捕捉!各員戦闘配備に就け!』

しかし、そんな状態も長くは続かなかった。艦内に響き渡るアナウンスで二人はすぐに戦闘隊形を取る。

「さあ、初めての実践!良い結果を持ち帰りましょう覇月!」


「うん!お姉ちゃん」

二人はお互いに頷きあった。



――――――――――――――――


「艦長!敵艦をレーダーに捕捉!3隻の敵艦を2時の方向に確認!駆逐艦『旅洋(ルヤン)』II型とミサイル艇『紅箭(ホウチェン)』型2隻かと思われます」


「そうか…あとはあれを待つだけか」

西森がそう呟いた瞬間、艦橋より「あれ」に関しての通信があった。


「こちら艦橋、旗艦ひゅうがよりZ旗の掲揚を確認!」


「よし、先制攻撃で早期決着をつけるぞ」

西森の声が先ほどよりも鋭くなった。皆、西森の命令を待ち、いつでも動ける状態を作ってあった。


「戦闘用意!」


「戦闘!」


「右砲、90式対艦誘導弾。打ち方用意!」


「打ち方用意!」

この時、絶破も『覇龍』の甲板の上で、狙撃銃に着けられている照準器(スコープ)を覗きながら着弾地点を計っていた。


「打ちー方始めぇ!!」


「打ちー方始めぇ!」

この掛け声と同時に絶破も狙撃銃の引き金を引く。バァァン!という発砲音と共に弾が飛んでいく。九式狙撃銃は、ボルトアクション方式といって、手動で弾を装填させなければいけないので、絶覇は素早く遊底(ボルト)と呼ばれる場所を起こして引き、また前に押し倒す。

そして、すぐさま2隻目のミサイル艇に向かって飛んでいく。


『覇龍』は左右に90式対艦誘導弾4連装発射筒が2ずつ設置されている。

左右合計4つの連装発射筒(キャニスター)の内、右側にある2つの連装発射筒から、ボオオォォォと煙を上げながら2発の90式対艦誘導弾が飛び立つ。

絶覇の放った.388口径弾と、90式対艦誘導弾が、中国軍の『紅箭』型2隻に飛んでいく。


「誘導弾はどうだ?」

西森がレーダー担当の兵に尋ねる。


「慣性航法装置が正常に働いて、真っ直ぐに敵艦に飛んでいます。どうやら敵は、こちらに気づいていなかったようです」



「ふむ、これならばポップアップ攻撃は不必要だろう」


西森の予想通り、ポップアップ攻撃を行わなくとも2隻の『紅箭』の左舷に90式対艦誘導弾が飛んでいく。中国艦隊が気づくも、既に時遅く、薄い装甲を易々と破り、爆発する。

紅箭型2番艇『順徳』は90式対艦誘導弾が当たった場所が悪かったのか、国産の対艦ミサイル鷹撃8に誘爆して、爆沈した。紅箭3番艇『南海』も爆沈は免れたものの、装甲の薄さ、船の大きさなどの問題があり、あえなく轟沈した。


少し遅れて、あきづき型護衛艦から90式対艦誘導弾が発射され、中国駆逐艦『旅洋』Ⅱ型に飛んでいったが、先ほどの2隻のミサイル艇の沈没により、既に存在を知られていたため、難なくかわされてしまった。


敵艦も反撃とばかりに鷹撃62対艦ミサイルを飛ばしてきた。鷹撃62対艦ミサイルが『覇龍』に向かって真っすぐ飛んでくる。


「艦長!敵艦より対艦ミサイルが2発飛来してきます!!」


「なんだと!?対空ミサイルの発射準備を急げ!」

あさづき型の対艦ミサイルで沈没できるものだと予想していたため、思いもよらなかった反撃に、西森は判断が少し鈍った。


「敵対艦ミサイルとの距離、800…600…500…対空ミサイルが間に合いません!」


「なんだと…!くそったれ!」

西森が、被弾を覚悟したその時、敵対艦ミサイルが海上で爆発を起こした。突然の出来事に皆、何が起こったのか分からなかった。


「こんごう型です!こんごう型の対空ミサイルが撃ち落としてくれました!」

いち早く理解した船員が報告する。


「そうか、後でこんごうの船長に礼を言っておかなければな…反撃を開始する!!」

甲板にいる絶破は狙撃銃の砲身(バレル)を.388口径から50口径に変えた…




突然のミサイル攻撃に味方の(ふね)を2隻も失った『旅洋』Ⅱ型、蘭州(らんしゅう)級駆逐艦2番艦『海口』の艦魂は、別空間から取り出した双眼鏡で、日本の戦艦『覇龍』を見て驚愕していた。


「な、何よあれ。日本があんな艦を作っただなんて聞いてないわよ…何なの、あの主砲は。あんなの見た事がない」

平成に生れた彼女らには、戦艦の主砲というものを見た経験が無い。要塞を思わせるような巨砲に海口はただ、驚きと恐怖を感じるしかなかった。

甲板に見えるのは、あの艦の艦魂だろうか?ポニーテールをした少女が、狙撃銃をこっちに向けようとしている。それに伴って、巨大な主砲もこちらに向けて動き始めた。そして、甲板にいる日本艦の艦魂がこちらに狙いを付けてきた。その時、海口は日本艦の艦魂と照準器越しに、目が合った気がする。しかし、こっちからは相手の表情は読めなかった。そして、日本艦の艦魂が狙撃したと同時に、主砲が大きく火を吹きながらドオォォォン!!!と音を立てて砲撃をしてくる。


「いや、やめて!打ってこないで!!まだ死にたくない!もっと沢山生きたいの!いや、いやぁぁぁぁぁ!!!!」

見たことも、聞いた事もない巨大な砲弾を目にし、恐怖に慄き、泣き叫ぶも、何も結果は変わらなかった…


『覇龍』の55口径砲弾3つの内2つが、海口の艦橋、と左舷にあたり、彼女が痛みに悲鳴を上げる間もなく爆沈していった。





中国艦の艦魂と目が合った気がした絶破。しかし、直ぐに気を取り直して狙いを定める。そして、引き金を引いた。

瞬間、『覇龍』の55口径砲がドオォォォン!!!と巨大な音を立てて砲撃を開始した。


本来、人間が甲板にいたならば、砲撃の衝撃波や爆風で身体が耐える事が出来ずに死んでしまうが、艦魂は人間と身体の造りが違うお陰で主砲の衝撃波は全く苦にならなかった。


覇龍は射撃をした後、直ぐに照準器から目を離した。中国艦の艦魂が傷ついているのを見たくなかったからだ。

そんなものを見てしまったら、自分が正常でいられるか分からなかったから…



無事、3隻の中国艦を沈没させた第一攻略艦隊は残りの4隻の索敵を始めた………









今話、何か気付いたことはありませんか?


そうです、いままで覇龍や破龍と表していたのですが、今話から覇月、絶破と表しています。筆記中に、いままでの表し方だと分かりにくく感じたので、今話から、彼女達はこういう風に表していきたいと思います。


作者の妄想武器は、このお話の途中で説明話でも入れようかなって思っています。



それでは、次話 尖閣諸島奪還作戦 ―後篇― (仮) をお楽しみに!

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