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野生児がクエストを始めて

ヒデカズは床で寝ました。木の上よりは快適だったのではないでしょうか。


起床。完全木製家屋の窓から朝日が、

差し込んでいない。

ウォッチを見れば2時だそうで。

めっちゃ早く起きました。

そういえば俺、いつ寝たのかに関係なく6時間から7時間で目が覚めるんだった。

7時に横になったとはいえ、実際に眠ったのはそれより少し後だったろうし、7時間弱寝たということか。

とにもかくにも、起床。起き上がって、柔軟運動。寝起きは体が硬い。

家を出る。もちろん、クエストをするために。

ちなみに、ベッドは全く変わっていなかった。NPCさんも起きたときには立っていた。NPCは眠らないようだ。


◇◆◇◆◇◆◇


一夜の宿を借りたわけだが、NPC相手では感謝も何も伝わらないわけで。一応、気持ちとしてはクエスト完了を感謝の形とすることにした。

空を見上げれば満天の星。深夜は星がきれいだ。

今になって気付いたのだが、NPCさんの母親ってどこに住んでるんだろう。それが分からないとクエストは終わらない。

困ったときのウォッチ頼みで、ウォッチでどうすればいいのか探すことにした。

そうすると、『クエスト』の欄の中の、『遂行中』の欄に『孝行娘の心配』というのがあった。これが今のクエストだな。クエストを受けるたびにここにクエストが増えるんだろう。(ペタゴではクエストをいくつか同時に遂行することができる。)

そして、『クエスト』欄に『NPC検索』という機能があって、その機能でNPCの場所が分かる。

その機能で探すべき母親を検索。町を出て、しばらくのところに家があって、そこにいるらしい。

しまった、俺マップ持ってねえよ。ウォッチである程度は位置が分かるとはいえ、これでは少しきついかもしれん。

しかし現状、マップなど買えないので完璧にウォッチ頼りで進むしかなかった。



町から出る。夜の森というか深夜の森だが、夜目は人一倍だと自負しているので問題ない。細い道に沿って歩いていく。

しばらく歩いたところで、物音がした。草むらの中で何かが動くような。

その方を見ると、案の定というかなんというか、角の生えたウサギだった。

俺としてはかなりうれしくないのだが、この世界はペタゴの世界だと分かったので、仕方がないと割り切るしかあるまい。

ツノウサギはありえないほど好戦的で、角をこっちに向けて突進してくる。

刀を出そうか一瞬迷ったが、そんな時間は無いと判断。

向かってきたツノウサギをジャンプでよけ、ツノウサギが俺に背を向ける形になるので着地してすぐに蹴る。

吹っ飛んで、光になった。光になった兎。

最初にツノウサギを蹴ったときは二回ほど攻撃したと思うけど、今回は一回だった。レベルアップのおかげか。

アイテムやペタはいちいち拾わなくても自動的に自分のものになる(要するにウォッチに入る)と最初のツノウサギのときに分かっているので、飛んでいったほうに向かったりはしない。

そして深夜の行軍再開。と思ったらまた別のツノウサギが出てきた。

野外ではモンスターがわらわらと出現するらしい。

そして、NPC母の家に着くまでに、大量のツノウサギを蹴っ飛ばすことになったのだった。


◇◆◇◆◇◆◇


NPC母の家に着いた。細い道から枝分かれした道の先、森の中に建っていた。

当たり前だが家の中まではモンスターは出てこないので、家に入ると常に周りに気を張っていた外の緊張感から開放された。

到着まで、数え切れないほどツノウサギを倒したわけだが、当然俺も無傷というわけにはいかず、何回か角がかすったり、直撃したり。でも、直撃にしては血が流れず痛みも小さかったな、と思う。やっぱ、ゲームの世界。

ウォッチで自分の体力(HP)を確認。

見れば、いつのまにか俺のレベルが5LVに上がり、体力(HP)が156/178だった。角が当たったのは10回や20回は下らない回数だが、最大体力との差が22。どうしてだろうかと疑問に思ったが、レベルが上がるとHPとMPが全回復するというペタゴのシステムを思い出した。(兄情報)

アイテム欄は、ツノウサギの角がたくさん、といっても約30個。ドロップ率100%というわけではないようだ。

ドロップとはモンスターを倒したときにアイテムを得ること。100%なら絶対に出てくるアイテム、1%なら貴重なアイテムだ。でも、強くなれば何千という数のモンスターを倒せるようになるだろうから、1%ならあまり貴重でないかも。0.00001%ぐらいの確立でしかドロップしないアイテムをこそ貴重というのかもしれない。

最後にレベルが上がるたびにうるさかったポーンという電子音、あれを設定でOFFにした。結構わずらわしかった。

あと、ゲームをやっている人ならば別に驚くことも無いのかもしれないけど、ゲームをあまりしない俺が驚いたこと。それは、回復系のアイテムもモンスターからドロップするということだ。

回復薬=店で、というのが当たり前だと思っていたから、結構な驚きだった。

さらに、装備品までドロップする。道中、サンダルが装備としてドロップした。『厚底サンダル(女性用)』との表示だったので、装備できなかった。もしできたとしても、絶対にいやだ。

いろいろ確認し終えて、家の中にいるおばあさんNPCに話しかける。柔和そうな顔をしている。


「あの、娘さんの頼みでここに来ました」

「あら、あの子に頼まれてきたの?わざわざありがとうねぇ。私は元気でいるから、心配しないでってあの子に伝えてくれないかしら」


体調など聞いていないのに、聞きたいことを簡潔に述べてくれるおばあさん。クエストのおかげだな。


「伝えます」

「あ、そうそう、家事は私一人でもできるんだけど、これだけはどうしてもできないってことがあって。頼まれてくれないかしら?」


ふむ、これは追加のクエストと見て間違いないだろう。

これを終わらせてから、町に行って娘NPCさんに伝えよう。


「頼まれます」

「ありがとう。今までは蓄えがあったんだけど、ちょっとずつ使ってたから、この前なくなっちゃって。ツノウサギの角。いろんな薬の材料になるの。主に傷薬に使ってるんだけどね。今はどこも怪我してないからあまり急いで集めてこなくていいんだけど、無いと不安だし、ツノウサギの角50個、集めてきてくれないかしら」


なんと、あの角にそんな使い方があったのか。

傷薬にするっていうし、粉にして使うのだろう。

しかし50個。30個今もっているとはいえ、あと20集めるのには少し時間がかかりそうだ……

ま、いいか。


「いいですよ」

「ありがとう、お礼はちゃんとするから、がんばって集めてきてね」


さて。狩ってきますか。

殺生は嫌なはずの俺だったが、慣れてしまった。人間って慣れる生き物なんだな、と体感する。



寝起きって、体が硬いですよね?

ところでウサギの鳴き声ってどんな?

ツノウサギの大きさは普通のウサギの2、3倍だと思ってください。もっと大きくても支障ありませんが。

兄(名:カミエ)情報、これから結構出てくると思います。本人はいなくともヒデカズの頭の中に登場。


MMORPGをやったことが無い人にもわかるように書きたいと思っていますので、用語とかはあまり使いたくない(ドロップとかkmgとか)。

しかしある程度は使わないとMMOぽくない。じれんま。

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