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―第4話― クラスマッチ競技投票

 翌朝、学校に着くやいなやオレは自称心友のコウイチに捕まった。

「で、今度のクラスマッチの競技投票、ウチのクラスは何になったんだ?」

 オレは右手親指を突き立て言う。

「水泳大会だ」

「っしゃーーー!!」

 ――と声を上げて喜ぶお前にも今回ばかりは同感だ。

「特にウチのクラスの女子はレベルが高い方だからな」。とは言うものの、まだ全体会議が残っている。

「知ってるとは思うが、まだ決定じゃないからな。今日の放課後、クラス委員会が開かれて競技が一つに絞られるから、全体で六クラスある事を考えると……」

「その事なら大丈夫だ。……実はB組とD組にも心友がいてね。そっちにも水泳大会になるように手は打ってある」

 なるほど。六組中、三クラスが水泳大会に票を入れれば、ほぼ確実に決まる。コウイチはそういう所だけは徹底しているからな。

 しかし、いつも作戦に穴があるのがコウイチだった事を、この時のオレは忘れていた。

 

 その日の放課後、委員会に出る準備をしているとコウイチが血相を変えてオレの席に走ってきた。

「シゲル!おい、シゲル!あいつらしくじっりやがった」

「ん? なにが」

「水泳大会だよ。投票日、B組のヤツは風邪で欠席、D組のヤツは忘れてただって」

「なんだってぇ!?」

「なぁ、その場合……選考ってどうやって決まるんだよ」

「他の競技が二票以上あれば、それに決定。一つも被らなかった場合……」

「被らなかった場合?」

「六クラス代表、ジャンケンバトル」

「つぁーーーーっ」

 ――と目の前で頭を抱えながら奇声を上げるお前にも、また同感だ。っていうかなんでそんな頼りない『心友』ばかりいるんだお前は。いや、それを肯定してしまえばオレも同類になってしまうじゃないか。こうなっては勝つしかあるまい。六クラス代表ジャンケンバトルに。

「賭けるしかないな、オレの勝負運に」

「ああ、運に賭けるのはまだいい。だけどお前、どうやってクラス委員に決まったのか、まさか忘れたわけじゃないよな」

 そうだった。オレはそのジャンケンに負けて今ここで委員会の準備をしているんだ。それは相方の姫ヶ谷コトハも同じ事。だったら初めからジャンケンで負けた人をクラス委員になんて決めるなよ。オレとコウイチがそんな話をしていると――。

「今の話聞いてると、まるでジャンケンは運任せみたいに聞こえるけど?」

 そう言って話に割って入って来たのは姫ヶ谷コトハだった。

「え? そうじゃないのか?」

 オレは彼女に問い返す。その横でコウイチがなにやらモゾモゾしていた。

「コホン、初めまして。俺、シゲルの心友の稲芝コウイチです」。そう言ってそっと右手を差し出した。

「ああ。あなたが例の」。コトハは腕を組んだまま答える。

「え、例の?」

 オレはその会話を妨害すべく話を戻した。

「そ、そんな事より姫ヶ谷。今の言い方だと、ジャンケンは運じゃないみたいに聞こえたけど」

「当然でしょ? ジャンケンは立派な心理戦。あなた、心理学専攻してるわりには何も知らないのね。まぁ水泳大会なんて、気分が乗らないから負けていいんだけど」

「……でもオレが言うのもなんだけど、姫ヶ谷もそのジャンケンで負けて、クラス委員になったんだろ? なんと言うか、説得力に欠けるような……」

「あの時はただ面倒だっただけ。勝とうと思えばいつでも勝てたわ」

 コトハは自信に満ちた顔で、そう言って見せた。

「どうだか。後でなら何とでも言えるからな。もしそれが本当なら、今日の六クラス代表ジャンケンバトルに勝ってみせろよ」

 すると彼女は少し考えると、ニャと口角を歪ませて言った。

「いいわ……見せてあげる。『ジャンケンにおける心理戦』を

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