『7月24日 最後のページ』
7月24日 日誌担当「アンディー、ロブ、イヴァン、イルマ」
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アンディー
この日誌も、今日で最後だと思うと、何だか悲しいんだじぇぃ。イルマの提案通り、よく分からないけど、ここにお頭へのメッセージを書いておくんだじぇぃ。
お頭へ。ナマケモノでいたのは事情があったからだって、イヴァンの書いた記事の残りを読んだイルマが言ってたんだじぇぃ。
それって、今までのは全部演技で、舵を握らないのもわざとって事なんだじぇぃ? 記事を読んでないおいらには分かんないんだじぇぃ。
でも、お頭の事今まで悪く言ったり、「女顔」だってふざけてたのは謝るんだじぇぃ。
これからはちゃんと、お頭の言う事を聞いて真面目に、地道に働くんだじぇぃ!
お頭には借りや恩がたくさんあるじぇぃ。海でおぼれていたおいらを拾ってくれて、「ギンギン海賊団」に入れてくれたんだじぇぃ。それに、おいらのマヌケな話を真面目に聞いてくれたのは、いつもお頭だったんだじぇぃ。
それなのに、悪口言ったりしてごめんなさい、そしてありがとうなんだじぇぃ。
この恩は一生掛けて、いつか返すんだじぇぃ!!
ロブ
おい、お頭! どうやってイヴァンを丸め込んだか知らねえが、喜ぶんだな、こんなに妙ちくりんな考え方をする乗組員がいる事を。
だが、俺は違うぞ。俺は誰が何と言おうと、自分の船を持つ! そして、すぐにここを襲撃に戻ってくるぜ!
最近、「お頭は演技してる」って言うウワサをよく耳にするが、んなわけねえだろ! 演技であんな身の回りを汚くしたり、宝や地図を捨てたり、船を水没させようとするヤツはいねえ!!
とにかく、俺は行く。お前みたいなナマケモノ船長に付き合ってたら気がおかしくなっちまう。
もし、引き止める気があるなら、せいぜい頑張って俺を説得するんだな!
あばよ、ナマケモノの女顔船長さんよ!
イヴァン
……わりぃ、お頭。書いてから捨てた記事をイルマが修復したらしくって、イルマにはお頭の秘密がバレちまった。
にしても、オレも驚いた、お頭にあんな過去があったなんて……。オレだったらもうとっくに諦めて、人生も何もかも捨ててたかもな。
あの状況で生き延びて、んでもって剣の腕を極めるなんて、並大抵の人間の出来る事じゃねぇよ。ホント、すげぇ。
……なあ、お頭? 話は変わるけど、イルマはお頭が好きなんだよ、オレじゃなくって。悔しいけど、とっても悔しいけど、オレの代わりにイルマを幸せにしてやってくれ。……頼む。
でも、ここで宣言しておく。オレはたとえお頭がイルマを好きだって言っても、オレはその数倍……いや、何億倍もあいつの事を想ってるって事だ……。たとえ剣でお頭に負けても、イルマを想う気持ちだけは、お頭にも、誰にも負けない……!
……また話がズレてやんの。
とりあえず、これからは今よりも、もっと真面目に働くからよ。オレの活躍、期待して待ってろよ、お頭。
イルマ
……やだわイヴァンったら、妬いてるの? 「あなたとは付き合えない」とは言ったけど、「イヴァンの事が好きじゃない」とは、ひとことも言ってないわよ。
ねえ、読んでるんでしょ? お頭。 私ね、あなたが好きなのよ。ものすごく唐突だけど、あなたが好きなの、惚れてるの。
分かってるわ、お頭は女性に惹かれるようなタイプじゃないって事。でも、私、あなたの事をずっと見てきたの。もしかしたら、あなたしか見えてなかったのかも知れないわ。
剣を握っている時のあなたは、普段からは想像もつかないほど真剣な顔をしていて、「やっぱり「お頭」は男の人で、ここの船長なんだな」って、実感するの。
少し前に、この船が襲撃された時、雨の中戦っているお頭を見て、それはもうメロメロだったわ。
あの時、私もお頭の近くで戦ってたのよ? 覚えてる?
……私の想いへの答えはいつでもいいわ。でも、イヴァンのようにみんなの見る所に書くのは止めてね。
これからは、お頭がみんなが敬うような船長になれるように、全力でサポートするわ!! 頑張って。
END.DIARY
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