『7月22日 7ページ目』
7月22日 日誌担当「こぶん2・イヴァン」
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よう。オレだ、イヴァンだ。お頭の事、バッチリ調べてきたぜ。これ見たらきっとみんなぶっ飛ぶだろうな。
と、その前に、ロブ。3日前、お頭の部屋の前にこの日誌置いたのオレだよ、オレ。わざとオレの書いたページに折り目付けて置いといたんだよ。次の日に機嫌悪かったのも、たぶん日誌見たからだろうな。
で、本題だけど、お頭はミカクニンセイブツじゃぁ無かったんだよな、悔しい事によ。
でも、海賊になった経緯は調べてきたぜ。それがすごくぶっ飛んでやんの。
いいか、言うぞ、ビックリするなよ? なんと、お頭は、お頭は……「ただのナマケモノ」だ。
ははは、笑えるだろう? あのバカ船長に秘密や隠し事なんかあるわけねぇだろ? あんな女みてぇなのが海賊になったのだって、ただ、先祖が代々海賊の船長っていうしがらみだけだ。気にするような事は何もねぇよ。
まぁ、お頭に不満のあるヤツは「船長のリコール」を申し出るんだな。でも、リコール戦をお頭に申し込んだ所で、あの人に剣で勝ち目はねぇけどな……。
……悔しいけどよ、お前らに6000コインやるよ。賭はオレの負け。
長いのか短いのか分かんねぇが、この辺で終わるぜ。じゃあな。
PS・イルマ、あれ嘘じゃねぇよな? 約束だぞ!
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以下・破れたページの修復版。イヴァンが最初書こうとしていた物の切れ端と思われる。彼は上記の物を書いた後、ページを半分を破り捨てている。
これは彼のゴミ箱から見つかった物を、イルマが隠れて修復した物である。
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なんと、お頭は、お頭は……お頭は自分の過去にまつわる重大な秘密を持っていたんだ。
みんな知ってるだろう? 16年前の事件……。お頭は、あの事件に大きく関わってたんだよ。
当時のウワサによると、どこかの残虐な船長が、航海中に見つけた船の船員を手当たり次第殺していくって言う、恐ろしい事件だ。
それで、その被害にあった船の「とある乗組員」の息子が、お頭だったってわけ。
お頭の父親は息子を海に落として、残虐な船長から守った。でも、乗組員も船長もそいつに殺されたんだ。
そして、お頭は必死に海を泳いでいって、どうにか生き延びた。その後、「ギンギン海賊団」の船長となって、当時父親や船員を殺した船長に復讐しようと燃えてるって事。
お頭の剣の腕も、父親と船員の敵討ちのためだったんだ。
……なのに、俺達は何も知らずにお頭の悪口ばかり……。3日前、お頭からこの話を聞かされて、オレは今までの罪悪感で胸が痛かったぜ。
日誌に書きたかったけどよ、お頭に口止めされてるから無理なんだよ。でも書いちまったから、このページは破んねぇとな。
お頭、今まで悪かったよ。「女顔」だの、「ナマケモノ」だの言って……。オレ、明日からもっと真面目に働くよ。
お頭が「ダメ人間」なのは、演技だったんだな。
でもひでぇよ、オレの書いた地図、破っちまうなんてよ……。
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