『7月19日 4ページ目』
7月19日 日誌担当「乗組員・イルマ」
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ハロー。私は女乗組員イルマよ。自己紹介なんて、今さらだけど、以後お見知りおきを。
うふん、私これでも強いのよ? 読んでいらっしゃる船内の方々、今度かる~い手合わせ、どうかしらぁ。
それはさておき、悪いわねえ、イヴァン。私、あなた達が悪口言ってる、他でもないお頭が好きなのよぉ。と言うことで、あなたと付き合うことはできないの。
確かに、私だってこうやってお頭の悪口日記に参加してるけど、それは私の嫉妬よ、し・っ・と! でもその嫉妬は、あくまで乗組員としての物であって、女としてのじゃないわ。
船内の人達全員が私と同じように嫉妬してるはずよ。「剣」に。
だってお頭、剣術以外に興味ないんだもの。
「私」より「乗組員」が大事で、「乗組員」よりも「お宝」が大事で、それよりも、「船」が大事。そしてそれよりも、もっともっと「剣」が大事なのよ。
そういえば、私、見ちゃったのよ。お頭が、乗組員の1人と一緒に恋占いしてるトコ。子供みたいに喜んでたわ。「これでプロポーズ出来る」ってね……。
でも、私じゃないことは確かね。以前お頭ったら私に向かって「結婚するなら君みたいな人より、剣術の上手い人がいい」って。全く、失礼しちゃうわよね。私、こんなにキレイで魅力的なのに。
べつに、いいんだけどね。私は船内結婚なんて望んでないから。だって、昔誰かが言ってたもの、「海賊が結婚なんてするもんじゃねぇよ」って。
まぁ、言わなくとも、誰かっていうことは分かるでしょ?
私が、「大海賊との恋愛に憧れてる」って言ったら、あの人ってば、そうやって私を引き止めたのよ。私がどこかの海賊と結婚しちゃうとでも思ったのかしらね。
……あら、私ったらイヴァンと同じことしてる。話がずれたわ。お頭の話に戻すわね。
とにかく、お頭の不審行動は今に始まった事じゃないわ。この前なんか、私に「女性が言われて嬉しい言葉パート10」を聞いてきたのよ。それだけじゃないわ、盗んだ宝石を器用にネックレスやペンダントにしてるの。まだまだあるわ。
真夜中に、ランタン片手に古い地図を読んでるのよ。それは、もう5回ほど目撃したわ。
……ロブもイヴァンも、お頭が女みたいだって言ってたけど、彼は「顔が女みたい」なだけで、ちゃんと性別は男でした。
私がそのテの噂に興味を持たないとお思い? みんな言ってるわ、「お頭は実は、男装した女なんじゃないか」ってね。
でも安心して、ホントにホントに男だから。私が性別も分からない人を好きになるわけないでしょ。
長くなったけど、もう私は書き疲れて腕が痛いわ。料理が出来なくなっちゃうといけないから、ここら辺で終わるわね。
……次は誰だったかしら? まあいいわ、じゃあねぇ~。
PS・イヴァンへ。
お頭にフラれたら付き合ってあげてもいいわよ。
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