MSM公式登録魔獣データベース:鋭尾牙フリューゲル
【MSM公式登録魔獣データベース】
■ 登録番号:MB-0247-Z
■ 一般名称:
鋭尾牙フリューゲル(えいびが・ふりゅーげる)
Aerofang Flugel
■ 魔獣分類:
獣型・飛行変異種(Beast Class / Aeromutant Variant)
分類補足:高地適応型の小型四足獣が、空嚢核と魔素筋膜の発達により「立体戦術能力」を獲得した変異飛行種。
■ 生息地域:
・風鏡山群 第五〜第九渓谷(特に第七渓谷に集中)
・ガルヴァ山系中腹部・未踏域
・旧帝国技術試験場廃墟群
・霧廻高原の断崖森林地帯 ほか
※極地の風圧・霧・断崖など、視界と音響の乱れる地形に多く分布。空嚢を活用した滑空行動のため、開けた空間より“狭隘な立体地形”を好む傾向が強い。
■ 出現頻度:
【群生変異型】
本種は、最大30体前後の群れを形成し、集団で狩りを行う戦術的魔獣。
各個体が“空嚢共鳴音”を用いた短距離通信を持ち、滑空・跳躍・着地を連携させて戦闘隊形を構築する。
単体行動時はLv.12〜14相当だが、群体になると「戦術共有」による脅威度が跳ね上がる。
特に地形適応力の高さにより、“空間の主導権”を奪われる危険がある。
■ 討伐レベル:
Lv.21(帝国魔獣管理機構・群体平均スコア)
分類:危険魔獣群体/高位準災害級相当
※対応には討伐経験者、斥候魔導士、広域攻撃手段を有する戦力が推奨される。
単体は中堅討伐対象だが、群体出現時の対応困難度はLv.25相当とされるケースも。
■ 外見的特徴:
・体長:約1.6〜2.0メルト(約2.3〜3.0m)
・体高:約1.0メルト(1.5m)
・平均体重:110〜140キロ
・背中および後肢に発達した“魔力空嚢核”を持ち、これを圧縮・開放することで空気を操作
・尾部先端は鋭利な骨質刃に変異しており、跳躍中に鞭状の一撃を繰り出す「断尾撃」が主戦法
・口腔内には螺旋状の牙列を持ち、噛みつき攻撃も捕食目的以外に多用される
■ 能力・行動特性:
・空嚢核を用いた「多段跳躍(Multi-Burst Leap)」による、立体的かつ断続的な加速が最大の特徴
・一部個体は、空中制動を行うための“魔力反射膜”を体表に形成し、旋回性能を大きく向上させる
・飛行というよりは“跳躍を滑空に繋げる”擬似飛行を得意とし、戦闘中の軌道予測が極めて困難
・知能は中程度。特に群体行動時は「囲い込み→追い込み→急襲」という戦術が観測されている
・霧や風の乱れを感知する感覚器を持ち、天候変化や空気振動に対する適応が極めて高い
■ 食性:
・主に肉食。山岳小型獣、鳥類、魔鼠などを狩る
・風属性に適応した魔素を好み、“魔素の流動”を持つ生物を優先的に襲う傾向あり
・血液中に魔力を循環させる生物(人間含む)を特に好むケースがあり、複数の襲撃記録あり
■ 食材としての評価:
・肉は締まりが強く、風味は淡白ながら“魔素による冷却保存”が可能で扱いやすい
・空嚢核は「風霊核」として高価に取引され、魔導器材の軽量エンジンや浮遊補助具に使用される
・尾部筋肉から得られる“空裂筋”は、薄切りにして燻すと旨味が凝縮され、珍味として流通
・反射膜は乾燥後に“風耐布”として衣類加工に利用されることもあり、魔獣素材市場での評価は高い
■ 注意事項:
・跳躍角度と反応速度が極めて高いため、“真正面”からの接近は避けるべき
・仲間個体の“空嚢音”に反応して突発行動を取るため、戦闘時は“個体より群れの動向”を重視すべき
・戦闘不能と見せかけた“仮死行動”も確認されており、不用意な接近は危険
・火器・爆音系魔導具への高反応性があるため、意図的な誘引も有効だが、暴走リスクを伴う
■ 登録備考:
・初期登録:帝国第9観測班・風鏡山域調査隊による討伐記録
・被害記録:霧崖街道補給隊全滅/第七渓谷廃墟調査班失踪/巡察隊壊滅3件
・現在、帝国技術局・高等魔導師協会・王都料理連盟など複数団体で研究・収集対象に指定
■ 総評(記録官備考):
高い身体能力と連携性を持ち、“地の戦い”から逸脱した戦術を展開する空間支配型魔獣。
単体ならば対処は容易だが、“空気という舞台”で戦うことを強要される群体戦は、並の冒険者にとってはまさに悪夢。
ただし、素材としての価値は極めて高く、空嚢核・尾肉・反射膜の三点は特級魔獣素材に分類される。
討伐者の一人曰く――
「あいつらは飛ぶんじゃねぇ、“空気に乗ってくる”んだ」




