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MSM公式登録魔獣データベース:黒爪グラウベルク



【MSM公式登録魔獣データベース】



■ 登録番号:MB-0183-X



■ 一般名称:


黒爪グラウベルク(くろづめ・ぐらうべるく)

Blackclaw Graubelk



■ 魔獣分類:


獣型・変異種(Beast Class / Mutated Variant)

分類補足:中型哺乳獣〈ヒスカ熊〉由来。魔素濃度の高い環境下で長期的に進化した“地域適応型変異種”。



■ 生息地域:


・灰針山脈東部

・ガルヴァ山郷および枯骨の谷周辺

・西方ユスロ高原南縁部

・ミドラン森林圏外縁地帯 ほか


※山岳~亜高原域を中心に分布。気候変動・魔素濃度の上下により行動圏が流動するため、観測データの定期更新が推奨される。



■ 出現頻度:


【定期巡回型個体】

一定の縄張りを巡回するように移動する性質が確認されている。繁殖期を除けば同時に複数個体が遭遇する可能性は低いが、各地に地域個体群として存在するため、“一体限りの魔獣”という誤認は危険。



■ 討伐レベル:


Lv.18(帝都魔獣監視機構・暫定ランク)

分類:高度警戒魔獣/小規模都市単位対応対象


※討伐レベル16~20に分類される魔獣は、一般都市の防衛機構では対応困難とされており、帝国軍・有資格冒険者・騎士団の特別対応が原則。

※ただし、Lv18は上位災害級とまではいかず、状況次第で“単独討伐”も不可能ではない。



■ 外見的特徴:


・平均体長:約3.8〜4.5メルト(5.5〜6.7m)

・体高:約2.6メルト(3.9m)

・体重:1.0〜1.3トン(成熟個体)

・全身は煤を帯びた灰黒色の体毛に覆われ、背面および肩甲部には岩盤状の骨質装甲

・前肢の爪は1.2メルト(約1.8m)を超える鋭利な鉤爪で、攻撃時に魔素の衝撃波を伴う場合がある

・眼球は深紅で、虹彩は不規則な六角構造を持ち、常時微弱な魔素発光が確認される



■ 能力・行動特性:


・圧縮魔素を一時的に筋肉組織へ流し、爆発的な加速・跳躍を可能とする「爆裂跳躍(Burst Step)」を保有

・音や匂いに敏感な縄張り型魔獣。焚き火、香草、調理臭など生活由来の臭気に過敏反応を示す

・好戦的ではないが、“侵入”と見なした対象には強い攻撃性を示す

・狩猟パターンは「静止→奇襲」が基本。大木の陰、岩影などで長時間潜伏し、接近する対象を強襲する

・咆哮には低周波による小型魔獣の麻痺効果があり、対多数戦では間接的な影響も大きい



■ 食性:


・本来は雑食だが、変異以降は“肉食傾向強化”が顕著に見られる

・特に高カロリー・高魔素濃度の肉を好み、同族他個体を捕食する例も記録されている(※共食い傾向)

・人間・家畜への襲撃記録は少ないが、嗅覚による索敵精度が高いため、食堂・宿場・野営地での接近例多数



■ 食材としての評価:


・肉質は非常に濃密で、特に前脚部の筋肉には“グラウ脂(Graub Lard)”と呼ばれる希少脂肪層がある

・この脂は低温でゆっくりと融解し、旨味成分と魔素芳香を兼ね備える最高級の干し肉素材

・加熱調理では肉繊維がほろほろと崩れる一方、生燻製や魔素熟成によって旨味の変質速度が激変するため、調理師の技量が問われる高級食材

・スープストックとしての評価も高く、「黒爪骨出汁こっそうこつだし」は高級料亭の裏メニューにも登場する

・皮膚の一部は“魔素遮断膜”として防具加工素材に利用され、爪は儀礼装飾または祭具として取引される



■ 注意事項:


・外見・習性ともに単純な大型熊型魔獣と誤認されやすいが、個体ごとの“魔素変異パターン”が異なり、戦術的変化に富む

・一部個体には“魔素器官の外部露出”や“第二関節肢の発達”など、従来個体にない進化傾向も観測されている

・枯骨の谷に生息する個体は、特に環境適応が進んでおり、【声による探査阻害】【風圧応答行動】など高度な反応性が確認済



■ 登録備考:


・初期登録:帝国第5調査遠征団(調査隊長:グレイ・カーネス)による個体調査に基づく

・被害記録:補給隊壊滅(死者12、負傷19)/交易商隊襲撃(積荷損失)/野営地破壊3件

・現在、各地の高等調理ギルド・冒険者団体・防衛都市連盟による「調達対象魔獣」リストに登録中

・MSM評価:警戒対象【中位】/有用資源対象【上位】



■ 総評(記録官備考):


「レベル18」とは言えど、あくまで“単独個体”の基準である。環境によっては、より危険な振る舞いを見せる“魔獣らしい魔獣”の好例であり、油断すべきではない。

それでいて、食材としてのポテンシャルは絶大。命を懸ける価値が“味”に宿る稀有な存在だ。

討伐者の一人曰く――『こんな旨い肉を、俺たちだけで食うのは罪だと思った』」


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