リンドブルム鉱山
タルシス山脈 / リンドブルム鉱山(Tarsis Range / Lindblum Mine)
◆ 全体概要
◼︎位置:エレトゥス大陸南西部・オルド=ハイアス連邦圏内
◼︎分類:高エネルギー鉱脈地帯/生態危険区/旧戦争遺構接触圏
◼︎現状:表向きは“枯渇した鉱山跡地”として管理。だが実際は戦術演習場として軍事再活用中
◆ タルシス山脈(Tarsis Range)
▣ 地理的特徴
・大陸南西端から内陸へと伸びる切り立った岩山群
・中心高度:約4,600m/最高峰 《クラグニク頂》は6,120mに達する
・大地隆起と霊素噴出によって形成された“魔力干渉型山脈”
・地下には枯渇寸前の雷霊素鉱脈と霊磁岩層が断層状に残存
▣ 気候・環境
・雷霊素の残滓により天候変化が極端
・雲の発生・局所放電・気圧反転などが頻発
・山中は昼夜の寒暖差が激しく、霊素濃度によって方向感覚が錯乱する領域も存在
・特定区域では霊的残響現象(術式の記憶波)が観測されている
▣ 戦時の歴史的背景
・終焉戦役時、霊導兵団の隠密採掘拠点および中継拠点が多数存在
・雷導砲台の原型 《嶺上波動結界炉》が実戦運用された唯一の山脈
・現在は条約上「文化的自然保護区」に指定されているが、実質的にLCAの軍事演習指定区
◆ リンドブルム鉱山(Lindblum Mine)
▣ 地理的位置と名称由来
・タルシス山脈中部、《デントリオ火口帯》の北縁に位置する旧鉱山区画
・名称は過去に出没した“幻獣級蛇型存在”アペプ=リンドブルム(仮称)に由来
▣ 地形・特徴
・鉱山と呼ばれるが、実際には“巨大なクレーター地形”を中心とした岩石密集帯
・周辺は数百m級の隆起岩柱群が不規則に林立
・演習区画はその中でも最も安定している第七陥没帯 《アルセラ・ホロウ》
・直径:約600mの円形谷底地形
・壁面は半自然的な崖構造+人工的に削られたバンク状地形
▣ 生態的危険因子
■ 幻獣級蛇 《アペプ=リンドブルム》
・地下の霊素汚染層から突発的に出現することがある
・体長30〜45m、毒性は即時神経遮断型
・通常の術式障壁を“霊素反転圧”で無効化可能
・通常は谷底の森林帯 《死の巣窟》に潜伏
・現在の演習地点はこの森林から約3km離れており、遭遇リスクは「低」だがゼロではない
▣ 機能と使用目的
・エレクトロニア教導局により、
「地形適応型・非定型戦術訓練」「視界制限下での陣形運用」「地形を活かした局地制圧」
を目的に演習指定
・周辺は仮設の霊導監視塔によって安全が常時監視され、アペプの動向・霊素異常は即座に本部に通知
◆ 交通・周辺都市圏
▣ 最寄り駅:オルトラ・ベイス駅(Ortra Base)
・かつての鉱山労働都市 《オルトラ》を再開発した戦術拠点都市
・駅と都市は地下霊素トンネルで結ばれ、演習参加者・教導官はここから霊導車両で鉱山演習地へ向かう
・構内には《LCA演習中継管制室》が併設されており、演習の全記録がここでモニタリングされる
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タルシス山脈(Tarsis Range)
■ 総論:雷導文明と霊素の“背骨”をなす霊峰地帯
タルシス山脈は、エレトゥス大陸南西部を南北に走る超巨大山系であり、全長はおよそ2,800キロメートル、最大幅は500キロメートルにも達する。地球のヒマラヤ山脈に匹敵する規模を誇るこの山脈は、雷導文明の母体となった霊素断層帯をその内部に抱え、単なる自然地形を超えた「文明的地盤」「霊素的基底構造」として、政治・軍事・神話的にも深い影響力を持つ。
エレクトロニア都市圏からは直線距離で約200km西方に位置し、主要交通網「スパーク・ライン」によって周縁都市と接続されている。演習地であるリンドブルム鉱山はこの山脈中部の一角にあり、地質・生態・霊素構造の複雑性ゆえに“死の谷”と恐れられてきた。
■ 成因と地質構造
――雷導断層と霊素衝脈が織り成す複合山系
タルシス山脈は、エレトゥス大陸における最古級の造山帯のひとつであり、その基礎的な形成そのものは、他の大陸山系と同様、数千万年以上にわたる地殻運動によって生じたと考えられている。
大陸内部を南北に走る巨大な地殻プレート境界において、長期的な圧縮と隆起が繰り返された結果、地表は徐々に持ち上げられ、現在見られる高峰帯と深い谷を併せ持つ山脈構造が形成された。
この点において、タルシス山脈の「骨格」自体は、自然地学的に見ても極めて妥当な造山過程を経ている。
しかし、タルシス山脈が単なる古い山脈に留まらない理由は、その内部構造に異常な霊素干渉の痕跡が明確に残されている点にある。
この山系の地下深部には、通常の岩盤断層とは性質を異にする、雷導断層と呼ばれる特殊な地質構造が存在する。
これは地殻変動の過程で生じた断層面に、エレトゥス大陸特有の高密度雷霊素が長期間にわたって流入・固定化された結果、断層そのものが霊素の伝導体として機能するようになったものである。
さらに問題なのは、この雷導断層と並行、あるいは交差する形で走る霊素衝脈の存在だ。
霊素衝脈とは、地殻深部において自然発生した高濃度霊素流路であり、雷・風・火といった属性霊素が層状、あるいは網目状に循環している。
これらは血管のように山脈全体へ張り巡らされ、外部からの刺激——強力な術式、兵器稼働、大規模な雷導設備の起動など——によって、局所的な暴走現象を引き起こすことがある。
この結果、タルシス山脈では以下のような特異な地質層が確認されている。
▪ 雷磁層
山脈中腹から高山帯にかけて点在する、強い帯電性を持つ岩盤層。
岩石自体が恒常的に雷霊素を帯びており、金属や魔導装置、術式詠唱に対して異常反応を示す。
露出部では自然放電や霊素反射が頻発するため、現在は多くが立入制限区域に指定されている。
雷導兵装の試験や地形利用においては利点にもなり得るが、制御を誤れば即座に致命的事故につながる危険層である。
▪ 霊脈層
山脈全域に存在する、霊素流動の中枢層。
雷・風・火の霊素が複雑に交差しながら循環しており、気象・地熱・生態系にまで影響を及ぼしている。
この層が不安定化すると、突発的な雷嵐、地鳴りを伴う霊素震動、幻覚現象などが発生する。
特に高地では、術者の精神状態や魔力波形が直接地脈に干渉し、予測不能な現象を引き起こすことがある。
▪ 古代崩壊層
過去の大規模霊素暴走や、戦時における地形破壊の影響によって、地層が断裂・反転した不安定帯。
地下には旧文明の魔導構造物や、未解析の霊素残滓が埋没している例が多数報告されている。
これらの層は現在も完全には安定しておらず、崩落・霊素噴出・局地的な空間歪曲といった現象が断続的に観測されるため、調査・演習ともに高リスク地帯として扱われている。
■ 地形・地勢の分類
▣ 主峰帯(3,800〜6,100m)
・クラグニク頂(Clagnik Summit)
標高6,120m。霊磁性の黒岩と白雷岩から成る双層山体。山頂では常時、微細な放電が起きており、雷導兵でも術式が暴走する危険がある。
・サーヴィク稜線
通称「天空の刃」。極端に鋭利な岩尾根が連なる標高5,000m超の稜線地帯。崖下には数百メートルの垂直断層が存在し、空中移動の術式すら“空間歪曲”によって誤作動を起こす危険地帯。
・黒針帯
無数の黒岩柱が林立する異様な地帯。内部には古代の魔導観測施設が埋もれているという伝説があり、“地の目”と呼ばれる霊素視界干渉を受ける。
▣ 中腹帯(1,500〜3,500m)
・ミルナ・フォールド
緩やかで多湿な高原盆地地帯。霧が多く、霊素濃度も高いため幻覚性の霊花や感応性獣種が多く生息。精神干渉系のスキルを使用する者は要注意。
・ルーメ・セリク林帯
巨大な霊導樹が密集する原生林地帯。雷導炉以前の“自然の雷”が宿るとされ、時折、樹冠から“雷の実”と呼ばれる発光果実が落下する。
・リンドブルム断層圏
リンドブルム鉱山を中心に展開するボコボコと隆起した地形。地盤が不安定で、霊素脈が露出している場所もあり、“踏み抜き”による転落事故も多発。
▣ 山麓・外縁(〜1,500m)
・緩やかな丘陵地帯と、希少な定住圏が点在。鉱山労働者や研究者、信仰者の集落がわずかに存在する。
・地磁気の乱れが少ないため、雷導兵の訓練施設や霊素研究所が多数設置されている。
・過去には雷導兵団の脱走者や異能犯罪者の隠れ家としても使用され、今なお探索不能区域が点在する。
■ 気候・霊素的気象現象
・霊嵐
通常の雷雨とは異なり、霊素の暴走によって形成される“音のない嵐”。術者のスキル構成にまで干渉し、能力暴走を引き起こすことがある。
・雷槍雨
高濃度雷霊素帯でのみ発生する現象。極細の雷光が降り注ぎ、装備・衣服を貫通する危険あり。年に数回、クラグニク周辺で発生する。
・静雷
一切の音を伴わない放電現象。精神干渉系の術者にのみ可視化されるという報告があり、「山脈が夢を見る時にだけ現れる幻」とも。
■ 植生・生態系
・高地では雷耐性を持つ特殊植生が多数確認されており、断雷樹・煌苔・電晶花などは雷導装置や薬品の素材として高価。
・生態系も霊素に強く依存し、獣だけでなく半霊素型の変性生物(例:雷狼バルトルク、雷羽蛇ヴァリカイン)などが目撃されている。
・近年では、遺伝子変異を起こした“霊導獣”の個体が、エレクトロニアの防壁域に接触しつつあり、軍は事実上の「自然災害」として認識している。
■ 神話・信仰・歴史的背景
・古くから、「雷は空からではなく、大地の底から噴き出す」という信仰があり、タルシス山脈は“雷神の脊椎”と呼ばれてきた。
・一部の霊導教派では、クラグニク山頂には“雷を制御した神の墓標”があると信じられており、禁足地として立ち入りが制限されている。
・終焉戦役時には、山中に多数の軍事研究施設と霊素兵器試作場が設置され、「戦争に耐えた大地」として、霊導兵団の象徴的聖地ともなった。
■ 現在の戦略的意義
・霊素・鉱石資源の供給地としての価値は高く、エレトゥス連合内でも特にオルド=ハイアス連邦が管轄権を主張している。
・同時に、山脈の地霊干渉性は軍事的にも注目されており、特殊スキル訓練・対霊素兵器演習の適地として使用される。
・特定の地点では、雷導炉級のエネルギーを出力する“未活性霊素炉心”の存在が推測され、長期的な調査と封印保全が進められている。
■ 終わりに
タルシス山脈は単なる“自然の舞台”ではなく、雷導文明そのものの原型が刻まれた地である。そこには、現代の霊素技術では再現できない“古き雷”の記憶が眠り、演習の舞台となるリンドブルム鉱山すら、その全貌の一端にすぎない。
この山脈に踏み込むということは、霊素の源へと逆流し、“力の本質”を問われる旅の始まりである。
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鉱山労働都市 《オルトラ》(Ortra)
――“雷に喰われ、なお灯る”都市
■ 総合概要
・都市名:オルトラ(Ortra)
・所属圏域:オルド=ハイアス連邦西部区画
・人口:約96,000人(うち労働登録者:約45,000人)
・主機能:リンドブルム鉱山群の鉱石精製・雷素抽出処理・霊素炉心の輸送中継地
・都市階級:第4級防衛都市(準・戦術動員区)
■ 地理的位置・構造
・タルシス山脈中腹東側に沿うように形成された半埋没式の階層都市。
・リンドブルム鉱山から東に約40km、演習列車が停車する終点駅 《オルトラ・ゲート》が都市東部に設置されている。
・地形の半分以上が人工的に切削・加工された段丘地形であり、都市は高低差のある多層スパイラル構造を持つ。
・「鉱層区」「労働区」「管理区」「外来区」「防衛区」の5大ブロックに分かれる。
■ 都市機能と産業構造
▣ 鉱業・雷素処理
・主産業はリンドブルム系統鉱山からの雷磁鉱・霊磁鉱・黒雷鉱の一次処理。
・特殊な圧縮技術で霊素を凝縮・抽出する《雷導炉基処理施設》を有し、雷導兵器用の触媒資源が定期的に出荷される。
・霊素炉心の暫定保管・移送施設もあり、都市外縁部には“未公開用途の研究棟”が点在。
▣ 労働者社会
・労働者の大半は技能保持階層(高位霊素鉱員)と契約従属階層(流動的契約労働者)に分かれる。
・市政における自治権は実質的に「霊鉱組合」「導線管理局」などの民間組織が掌握。
・住民の中には“雷病”と呼ばれる慢性的霊素障害を抱える者も多く、医療支援区画が常設。
▣ 教育・軍事施設
・軍用訓練場としては、雷導兵訓練校(LCA第七鉱山分校)の演習用出張所が存在。
・戦術シミュレーション施設 《ノーデンス・カプセル》により、鉱山地形での実戦訓練が可能。
・教導局の観察対象都市に指定されており、教官や監視者の短期駐在も多い。
■ 景観・都市文化
▣ 景観と雰囲気
・全体的に鉄錆色と雷光のコントラストが支配する、陰鬱かつ緻密な都市景観。
・施設や住宅は耐圧・耐熱構造の灰褐色建材で造られ、露出した導雷管や蒸気煙突が随所にある。
・夜間には上層から下層に向けて雷導灯が螺旋状に点灯し、視覚的には美しくも“燃え落ちるような”印象を残す。
▣ 文化的特性
・「雷を喰い、雷に喰われる」という自嘲的な言葉が都市民の間で使われている。
・労働者たちは独特の儀式や喧騒文化を持ち、鉱夫酒場 《フラック・ヴェイン》では雷素入り酒“ボルト・スピリッツ”が名物。
・雷神崇拝の変形信仰も根強く、山脈に向かって祈る“送雷式”が季節行事となっている。
■ リンドブルム鉱山との関係
・オルトラは“鉱山の影”であり“雷の下請け”と称されるほど、リンドブルムに依存しながらも一定の距離を保つ。
・山の内部には未公開区域が多く、鉱山とオルトラの間には“霊素封鎖線”が敷かれている。
・伝承や都市伝説として、「リンドブルムの深層には意志を持つ雷が眠っている」「鉱夫が消えるのは雷に喰われた証」などが囁かれる。
■ 政治・社会的立場
・表向きはエレトゥス連合管轄下の自治都市だが、実質的にはオルド=ハイアス連邦の軍産複合体による管理支配が行われている。
・他国からは“連合の盲点”とも呼ばれ、条約上は非武装でありながら、封鎖されている霊導ラインが複数発見されている。
・市民の中には政府への不信感を抱く者もおり、過去には小規模な鉱山反乱事件も記録されている。




