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でも、明日は雨らしいです

作者: enishi

「お疲れー!あれ?今日はこのはさんだけ?」


 守井先輩が元気よく部室の扉を開けて挨拶をする。


「お疲れ様です!はい、今は私だけです」


 数人の文芸部員がいるがこの日はたまたま2人のみ。

 このはは高校1年の文芸部員。守井先輩は2年生。

 2人だけの空間にどきどきするこのは。

 やばい、憧れの守井先輩と文芸部の部室で2人きり。


 バクバクバクバク


 心臓が体の中で暴れまわっている。

 落ち着け、落ち着け。と心で唱えるこのは。


「あ、お茶入れますね」


「ああ、うん、有り難う」


 このはがお茶を入れているときスマホを見ている守井先輩。

 スマホの画面を見て守井先輩の表情が緩んだ気がした。


 なんだ?と思うこのは。


「このはさん、昨日のコロエル日記チェックした?」

 コロエル日記とはライトノベル発の大人気アニメである。


「もちろん見ました。ラストへ向けてストーリーがシリアスになってますよね?」

 アニメの話で盛り上がる2人


「へへっ、明日さ。神尾さんとそのコロエル日記の映画を見に行く約束を取り付けたんだ!」


 え!?2人で映画に行く?それはつまりデート?

 畜生!あの丸眼鏡に先を越された。心の中で毒づく。

 とても悔しいこのは。

 先ほどの守井先輩の顔のゆるみはデートのことだったのか。

 このはの前でこのはの気持ちにも気付かずにあけっぴろげに明日のデートの話をする守井先輩。とても鈍感な人だ。


「神尾さんとは付き合ってるんですか?」


「え?い、、いやいやまだそんなんじゃないよ。まいったな」


 照れ笑いをする先輩。付き合っていないのならこのはにもまだチャンスはあるはずだ。


 守井先輩。同じ文芸部の先輩。頭の切れる人ではあるけれど、どこか抜けているところがある。

 美しい長い黒髪で端正な顔立ちの女子。

 そう、このはの憧れの女性。


 守井先輩と神尾さんが2人で出かける。

 そんなの、嫌だなあ・・・・。



「でも、()()()()()()()()()。風も強いらしいです。出かけるには向いていませんよ?風邪ひくといけないから、やめたほうが良いと思います」


 このはは自分の髪をいじるしぐさを見せる。2人の中をどうしても邪魔したいと思う精一杯の抵抗。



 ガチャリ


 一人の丸眼鏡をかけた女子生徒が部室に入ってきた。


「こんにちは~。」


 先ほどから話題に出ている神尾さんである。このはと同学年でライバルでもある。


「そうだ!このはさんも明日一緒に出掛けない?3人のほうがきっと楽しいよね?」


 社交辞令であろうか?いじわるを言ったのに。全然気づいてない。

 やはり鈍感な守井先輩。


 お邪魔虫以外何物でもないと感じるこのは。その誘いを断ってしまった。


 帰りのバスの中。

 デートの邪魔をするために明日は雨が降るなんて嘘を言ったこと。

 少し自己嫌悪に陥るこのは。

 気を取り直して座席にてスマホで恋占いをする。

 守井先輩の生年月日と自分の生年月日を入力。血液型に性別、年齢も入力。



 守井先輩とこのはの相性は抜群らしい。


 まだまだチャンスはありそうだ!


「よしっ!頑張れわたし!」

守井先輩は女性です。今回は初めてガールズラブ作品となりました。

お付き合いいただきありがとうございました!


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